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その携帯,データ復旧できますか? ――(2)

2002/08/09

 前回の記事に読者から情報を寄せていただいたので,まずはその情報から。記事中で「TU-KAは修理時にデータを保全するサービスがない」と書いた。もちろんショップ取材などをした上で書いたことなのだが,実際にはTU-KAも, J-フォンや au と同程度のデータ保全サービスを実施しているようなのだ。

 ただし,著作権のあるコンテンツを別のメモリーに移すと著作権者の主張に反する可能性がある。このため会社として実施しているとは言えないのがTU-KAの立場。どうもグレイなサービスではある。

 各携帯電話会社とも,データ保全では著作権に頭を悩ませている。もちろん著作権を尊重することは大切だ。ただ,「著作権のあるコンテンツが含まれているから」という理由で,そうでないデータの保全に腰が引けてしてしまうことのないよう,各社にお願いしておきたい。

 さて,本題である。今回はケータイに貯めたデータを,ユーザーが自主的にバックアップすることについてコメントしたい。

auが良好,パソコンとの連携

 バックアップでまず思い浮かぶのはパソコン用の携帯メモリー編集ソフトだろう。専用ケーブルでケータイとパソコンをつなぎ,電話帳などのデータをパソコンに取り込めるソフトだ。

 この種のソフトは店頭に多く並んでいるが,着信メロディや画像データを,電子メール経由ではなく,直接ケーブルを使ってパソコンに転送する機能を備えた製品となると,意外に少ない。しかも,どのケータイでも転送できるというわけではない。では対応状況の良いケータイはどれか。記者が見た限り,対応機種が多いのはau,NTTドコモ,J-フォン,TU-KA――の順だ。

 au には,「MySync 」という純正の携帯メモリー編集ソフト(開発はカシオソフト)がある。このソフトを使えば,最近のほぼすべての cdmaOne ケータイで,パソコンへのバックアップができる(パソコン側に Outlook が必須。Outlook Expressでは不可)。

 au ではケータイの内部仕様を細部まで標準化している。電話帳やスケジュールといったデータのほかに,画像などを入れるデータ・フォルダの仕様が細かく決められており,端末メーカーはこの仕様に合わせて作る。MySync は,この仕様に従ってアクセスしているため対応機種が多くなる。逆に,この仕様に正確に合わせていない,あるいはカシオソフトと異なる解釈で実装しているケータイでは機能が制限される。

 同ソフトの最新情報を掲載しているページを見ていると,新機種が店頭に出るとほぼ同時にその情報がアップロードされる。これも仕様が決まっているからこそできることだ。

 一方,NTT ドコモや J-フォンなどのケータイにも仕様はあるのだが,ケーブル経由のアクセスを想定した部分は標準になっていない。このため,端末メーカーごとに異なる部分があることになり,携帯メモリー編集ソフトの開発会社は機種毎に解析する必要がある。こうなると解析する方も大変だ。次々と新機種が出てくるから,どうしても人気機種を優先する。その結果,対応状況は上で述べたような順位になってしまう。

 現在,画像などのデータをケーブル経由で吸い上げられるソフトというと「ケータイ・リンクIV」(販売:ビレッジセンター),「ケータイ・マスター8」(同:ジャングル)あたりだろうか。両ソフトとも対応は感心するほど速いのだが,それでも画像データの転送機能となると,新機種が出てすぐ実装というわけにはいかないようだ。

メモリー・カードが有望

 こうした状況は,ケータイを活用したいユーザーにとって不満のタネであるのは事実だ。しかし,今更ここで「仕様をしっかり決めましょう」と言うつもりはない。

 日本のケータイは,走りながらニーズを探し,端末に新機能をどんどん盛り込んで,利用者の拡大と機種変更を促してきた。良くも悪くも,これが日本のやり方だろう。つまり,今後出てくる機種でこうした問題に対応すればよいのだと思う。

 そう考えているうちに,業界の動きが見え始めてきた。どうも,メモリー・カードを載せたケータイが主流になりそうな気配だ。

 ZDNetの記事が IDC の予測として伝えているところによると,2006年のメモリー・カードの出荷量は携帯電話向けが1億5000万枚に達し,デジタル・カメラ向けの6200万枚を上回るという。また,第3世代携帯電話ではモバイル・コマースの用途を想定し,IC カードの採用が進みつつある(W-CDMAでは必須,cdma2000では必須ではないが au では採用の予定)。しかし,データのセキュリティに関してもメモリー・カードでできるようにしようという動きさえある。こうなると日本では IC カードを採用する理由が希薄になってくる。

 日本でケータイの人気を押し上げたのは,メール,Webアクセス,着信メロディ,デジカメ,Javaアプリケーション――だが,このうちデジカメの用途は将来も有望視されている。CNET Japanが伝える別の調査によると,デジカメ付きケータイは2007年に販売台数が1億4700万台に達し,デジタル・カメラ専用機(同:9500万台)を抜いてしまうほどだ。

 最近のケータイに搭載するデジカメは,例えばカシオ製など最大撮影枚数が800枚に上り,画素数も35万など,容量は増える一方。こうなるとメモリー容量の少ない IC カード(例えば32KB)では力不足で,メモリー・カードを搭載するという流れになるのが自然に思える。

☆     ☆     ☆

 デジカメと大容量メモリー・カードが付いたケータイは,便利だろうと思う。わざわざデジカメを持ち歩かなくても,いつでもスナップが撮れてパソコンに取り込める状況が,4〜5年後には来るのである。

 ただ,1億4700万台というデジカメ付きケータイの数のせいで,ちょっと不気味な気がしないではない。5年後には,街行く多くの人がデジカメ付きケータイを持ち歩いているからだ。いつでも,どこかで“カシャッ”という音がする世界になると考えると・・・。

(橋本 敏彦=編集委員室 編集委員)

■関連情報
◇携帯メモリー編集ソフト関連
MySync(カシオソフト)
ケータイ・リンクIV(ビレッジセンター)
ケータイ・マスター8(ジャングル)

◇最近のメモリーカード付き携帯電話関連
シャープ J-SH51
三菱電機 ドコモムーバD251i

■本記事は,BizTechに8月7日に掲載したものです。BizTechではこの記事をはじめ,多彩な記事をコラム「視点」で掲載しています。ぜひ,ご覧下さい。

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