家電製品,ユーザー・インタフェースに問題あり HDDビデオ・レコーダーがホットな市場を形成しつつある。見逃したシーンをちょっとさかのぼって見直したり,手が放せない用事ができたときに,その時点でストップさせておけるタイム・シフト再生などが自在にできるメリットが受け,サッカー・ワールド・カップの観戦を心ゆくまで楽しみたいと大手量販店では6月に入って売れ行き倍増の人気だそうだ。 ハーフ・タイムの余分な時間は300倍速ですっ飛ばし,すぐに後半戦に。ゴールの瞬間やファウルの場面はちょいと戻し,仔細に見直すことができる。まさに,HDDビデオ・レコーダーならではの楽しみ方である。 しかし,問題は使い勝手の悪さだ。機能がてんこ盛りだから,できる操作が多くなるのは当然だ。しかし,Gコード予約するだけでもマニュアルを参照しなければ使えない作りには閉口させられる。Gコード予約をする前に,事前に設定しておかなければならないことがあるのだが,画面にはただ単にエラーが表示されるだけ,これではいつまでもマニュアルが手放せない。 いろいろな操作をユーザーに分かりやすくフィードバックするには操作ガイドや,直感的に理解可能なアイコンなどをテレビ画面に表示する方法が考えられるが,こうした方法をうまく生かしていないのにはあきれてしまう。 ゲーム・ソフトなどは数少ないリモコン・ボタンを有効に使い,ソフト自体に自己説明させる作りになっていることが多い。こうした考え方を家電製品の設計に生かしていかなければ,ヒット商品に結びついていかないだろう。 日本ではこうしてマニアのための商品から抜け出せないHDDビデオ・レコーダーだが,米国では使い勝手の良さを売り物にしている。米国ではこの種の機器はパーソナル・ビデオ・レコーダー(PVR)と呼ばれ,録画予約指定などは画面上の番組表をクリックするだけでできるようになってきている。 CMをカットして再生する機能や,録画した番組をネットで配信できる機能などを組み込み,ユーザーの注目を集めている。逆にこの機能が普及してしまうと放送が成り立たなくなると,放送局などが出荷停止を求めて提訴するなど,派手な話題作りにも一役になっている。 (林 伸夫=編集委員室 主席編集委員) |