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記者の眼

企業の体質を浮き彫りにするWebサイト

高下義弘 2002/05/13 ITpro

 企業のWebサイトをじっくり観察すれば,その企業の顧客や取引先,株主などに対する姿勢が透けて見えてくる。サービス提供者としての基本的な考え方,意識がにじみ出ているからだ。

 Webサイトは,クリック一つで企業の体質をあからさまにする恐ろしい媒体なのかもしれない。インターネットを利用した顧客戦略やマーケティングに詳しいM&M研究所の三石玲子代表は,「一般企業がWebサイトを開設するようになってから約7年。これだけインターネットが浸透した現在でも,この恐ろしさに気づいていない,お粗末な企業があまりにも多い」と指摘する。

見た目はキレイでも,“社内の都合”が優先されたサイトではダメ

 一般に世間から“立派”だと思われている企業のWebサイトにアクセスしてみよう。たとえ画面の見た目はキレイでも,メニューの配置,言葉遣い,コンテンツの取りそろえなどに,立派とはほど遠い企業の体質が表れていることがある。社内でしか通用しない用語を使っているサイトなどザラ。いまだにトップページが「社長からのご挨拶」や「企業概要」というサイトも少なくない。「社長の挨拶や企業の沿革を読みたいユーザーなど,ごくわずか。多くのユーザーはこんなWebサイトから,ぞんざいな扱いをされていると感じる」(三石代表)

 コンテンツの取りそろえにも,顧客軽視の姿勢が顕わになっているケースがある。大手メーカーを例にとると,トップページ(あるいは,その“1階層下”のページ)に生活家電から重電までの情報を押し込んで,てんこ盛りの状態になっているWebサイトが散見される。顧客を置き去りにして,「どの部門も等しく扱わなければならない」と,社内の都合を最優先する姿勢が見え隠れする。

 このような企業では,社内のWebサイト運営組織がコンサルタントなどの助けを借りながら,しっかりとしたWebサイトのコンセプトを固めても,社内の政治的な力関係によってかき消されてしまうのだろう。逆に,「Webサイトが顧客の目から見て良くできており,ネット・ビジネスの売り上げも高い企業では,Webサイト運営組織がとても生き生きと仕事をしている。トップの理解もあり,社内の風通しがよい証拠だろう」(三石代表)。

 記者が取材したことのある花王,ソニー,キリンビールといった大手企業のWebサイト運営担当者は,「Webサイトは企業そのものを表す」と異口同音に語る。だが,これらの企業は例外的な存在だ。残念ながら,そのような認識を持っている企業はまだ少ない。

Webサイトの「ガバナンス」が欠かせない

 では,“企業そのものを表す”Webサイトを立ち上げ,運営するにはどうしたらよいのか。

 まず,Webサイトの目的をはっきりさせることが先決だ。次に,その目的に合ったWebサイトを構築・運営するための「ガバナンス(統治)」の体制を作らなければならない。

 Webガバナンスには,コンテンツの取りそろえと更新,Webシステムの構築,問い合わせへの対応などを行うために,社内のほとんどの部門が関係する。そこで,情報システム部門はもちろん,営業,マーケティング,広報・宣伝,人事,総務といった多くの部門を束ねて,企業内でWebガバナンスを進める旗振り役が重要になる。

 この旗振り役の名称として,多くの企業で共通の定着したものはないが,ここでは仮に「Webマスター」と呼ぶ。記者が現在進めている取材から,Webマスターが果たすべき役割が見えてきた。個々の部門がWebサイトを通じて何をやりたいのかを引き出す。一方で,企業としての方針や姿勢に一致する内容と品質を備えたWebサイトを作り上げる。これがWebマスターの使命だ。つまり,社内のコンサルタントと調整役という二つの役割をこなさなければならない。

 まずコンサルタントとしての仕事。各部門にいるコンテンツの“元ネタ”の責任者にヒヤリングすることで,その部門の意図に合致したコンテンツ作りを支援する。ただし,部門間でコンテンツ提供への意欲に温度差があるため,Webマスター自身がコンテンツの作成などを肩代わりして,手本を示すこともある。

 調整役としては,コンテンツの内容と品質を全社的な視点からチェックし,企画・制作段階から関与して,その企業が発信するものとしてふさわしくなるようにリードする。場合によっては,部門の意図に反してコンテンツの発信にストップをかけることもある。だが,枠にはめるようなことはせず,いったん軌道に乗ったら,あとは部門の主体性に任せるケースが多い。

顧客を重視しつつ,社内調整に忙殺されるWebマスター

 各社のWebマスターの話を聞くと,この調整役が仕事全体の8~9割を占めるようだ。各部門の調整・説得によって,コンテンツの更新頻度や責任の所在を決めるなど,全社的な運営ルールを作る必要がある。運営ルールを決めても,それがきちんと遵守されるように現場を説得するのは容易ではない。

 ある企業のWebマスターは自らの役割を,「現場に煙たがられる,社内の嫌われ者だ」と自嘲気味に語る。「Webマスターといっても,自分自身が著名であるとか,政治力のある部門に所属している,といった権威はない。だから説得や交渉に苦労する」。それだけに,業務システムの構築と同じく,Webサイトのガバナンスを進めるには,経営トップのバックアップが欠かせない。

 Webサイトが顧客や取引先,株主などから受け入れられ,関係強化に役立つ存在になるまで,Webマスターの奮闘は続く。日経コンピュータ6月17日号では,各社のWebマスターから聞き出した生の声をもとに,「Webサイトのガバナンス」の実態と成功のカギを報告する予定である。

 皆さんご自身,あるいは皆さんの企業での取り組みなどをお教えいただけるようでしたら,こちらのアドレス(ncreader@nikkeibp.co.jp)まで電子メールでご連絡いただければ幸いです。ご意見・ご要望などもお待ちしております。

(高下 義弘=日経コンピュータ編集)

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