マッキントッシュ(Mac)向けの製品,サービスの展示会Macworld Conference & Expo Tokyo 2002が東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開幕した(3月21日(木)から23日(土)まで)。

 キーノート・スピーチに立った米Apple ComputerのSteve Jobs CEO(最高経営責任者)は,積極的に推し進めてきたデジタル・ハブ構想をさらに強化し,ビデオ,音楽,写真などの楽しみをもっと広げていけるようMacの接続性,アプリケーションの充実を図っていくとの決意を表明した(Jobs氏の講演などを動画で提供中)。

 そのカギを握る新製品の一つがMac OS X対応のBluetooth[用語解説]ソフトウエアとBluetooth USB[用語解説]アダプタだ。このアダプタをMacにさせば,Bluetooth対応の携帯電話を通じてモバイル環境からインターネット接続できるようになるし,Bluetooth対応のPDAに対してパソコンに貯めた住所録情報などを簡単に移動できるようになる。

 これまでAppleはBluetoothに対して極めて冷たい態度を示していたメーカーの一つで,一説によるとAppleは金輪際Bluetoothには対応しないのではないかと言われていた。他のメーカーに先駆けて,いち早く11Mbpsの無線LANシステムを準標準として装備しているため,1Mbps,半径約10メートル以内,などといった仕様には興味がないのだろうと言われていたが,ここに来て,態度ががらりと変わった。

 携帯電話,PDA,プリンタなどへのオプション装備率が高まってきたうえに,チップ価格が十分に下がってきたから,Appleも重い腰をあげたというわけだ。展示会などではプリンタにIEEE802.11b[用語解説]の無線LANを組み込んだプリンタ・サーバーなども参考出品されてはいたが,実際の製品はなかなか登場しておらず,そうこうしているうちに,Bluetooth搭載プリンタがちらほらするようになった。ここで,対応しておかなければ取り残されるとの判断が働いたというわけだ。

 これまで,多くのUSB対応の携帯電話やPDAに接続ができなかったMacだが,これがうまく機能するようになれば問題の一部は解決するかもしれない。特にMac OS X上では,携帯電話でインターネットにモバイル接続できないことがとても多く,この新製品は打開策として極めて有効かもしれない。

 Bluetooth USBアダプタは6,000円(Apple Storeプライス,税別)で5月上旬から販売される予定だが,Bluetoothプレビューソフトウェアは,すでにアップルのWebサイトからダウンロードが可能になっている。

 実は,USB接続のBluetoothアダプタは,日立製作所や3Comが販売を開始している。こうしたアダプタをMacに刺して,Bluetoothプレビューソフトウェアをインストールするとうまく使えないものだろうか?

 取材のネタがまた一つ増えた。早速調査に入ってみよう。

(林 伸夫=編集委員室 主席編集委員)