「XML(拡張可能マークアップ言語)」「Java」「暗号化技術」「Linux」「電子認証技術」--。日経インターネットテクノロジーの読者に,いま興味をもっている技術分野を挙げてもらった結果である。36の技術名を並べたリストを提示し,そこから興味のある分野を選んでもらった(複数回答可)。

 トップ5は上の通りで,XMLは50.3%,Javaは43.7%,暗号化技術は40.1%,Linuxは39.7%,電子認証技術は35.2%の読者が興味を持っていると答えた。なるほど,XMLやJavaはインターネット関連システムの構築に不可欠の技術になってきた。それを反映した結果だろう。しかし,やや新鮮味がないような気もする。

 日経インターネット テクノロジーでは,読者のプロフィールや関心の変化を調べるために定期的にアンケート調査を実施している。ここで紹介しているのは,その結果の一部である。97年8月に創刊した後,98年,2000年,そして2001年に調査を実施した。読者から無作為に1000人を選んで調査票を送り,回答してもらうという方法である。98年,2000年,2001年の回答者はそれぞれ567人,485人,469人。今年の調査は8月に実施しており,10月上旬に調査結果がまとまったところだ。

 さて,関心の高い分野のベスト5を冒頭に示したが,ちょっと別の視点から眺めてみたい。興味をもつ人が増えている分野,減っている分野である。

 98年に比べて最も大きく伸びたのはXMLである。98年こそ18.7%と下位に甘んじたが,2000年に52.0%と急増して1位となり,2001年はやや減ったが50.3%でトップの座を守った。XMLのどこにこれほどの魅力があるのか分からないが,個人的にいえば,XMLという言語にではなく,企業間電子商取引(BtoB EC)での活用といった応用に関心がある。

 そういえば,今年から候補リストに加わった「Webサービス」は33.0%と,いきなり6位に踊り出た。XMLをベースとするBtoB ECやWebサービスへの関心は今後,さらに拡大していくだろう。これに対しXMLは,もう当たり前という状況となってランクを下げるのではないか。

 XML以外で伸びているのは「Linux」「IPv6」「xDSL」である。こうした名前を見ると,少しだけ時代の変化を感じる。

 Linuxは20.3%(98年)から37.1%(2000年),さらに39.7%(2001年)と順調に増加している。IPv6は14.6%(98年)から31.5%(2000年),33.0%(2001年)と伸びた。xDSLは9.0%(98年)から17.7%(2000年)に急増し,さらに22.0%(2001年)へと増加した。xDSLへの関心は今後も弱まることはないだろう。

 そういえば,2000年から候補リストに加わった「ストリーミング」が意外に健闘しており,10.1%(2000年)から19.8%(2001年)になった。ADSLの普及に伴って,ストリーミングへの関心はさらに高まるかもしれない。

 残念ながら,興味が減少している分野もある。「モバイル・コンピューティング」は40.7%(98年)から32.6%(2000年),31.6%(2001年)と徐々に減っている。「TCP/IP」は35.8%(98年)から33.2%(2000年),29.6%(2001年)に,「HTML」は31.2%(98年)から24.1%(2000年),21.5%(2001年)になった。これらはすでに普及した技術であり,その分野で大きな変化がなければ,今後も情報ニーズが高まることはないだろう。

(稲葉 則夫=日経インターネット テクノロジー)