業務アプリケーションをWeb上で実現するWebアプリケーションが大はやりだ。

 パソコン・ベースのデータベース・ソフト「Access」や「ファイルメーカー・プロ」などで十分に処理できる業務はたくさんある。そんな事例でも,在宅勤務者に使ってもらいたい,業務パートナーにも使ってもらいたいなどといった場合には,Webアプリケーションとして構築することが多い。

 さまざまなパッケージが登場してきたこと,開発者にもノウハウが貯ってきたことなどもあり,比較的安価にシステムを導入することが可能になってきた。常時接続が一般化したことも追い風で,経営者,社員が常に状況を把握したいというニーズにも簡単に応えられる。

 しかし,ちょっと頭の痛いこともある。いざ導入完了した段階で,どうしても請求書のフォームを変更したい,集計表の形式をもっと見やすく整理したいといった場合だ。

 そもそもこうしたWebアプリは帳票出力に弱く,定型の帳票用紙にきれいに印刷すること自体難しい。いったん作ってしまった帳票出力コンポーネントは変更にも弱く,ちょっとしたリクエストを出すだけで20万円,30万円といった保守コストがかかることもよくある。

 こんなことを考えていたときに,先週開かれたWORLD PC EXPO 2001でキー・プランニング(http://www.key-planning.co.jp/)のブースなどで面白いヒントをいただいた。ぜひ,紹介しておきたい。

 同社のやり方はこうだ。小規模なWebアプリケーションを作るときは,LinuxやMac OS Xなどの上にJavaベースのアプリケーションを開発し,パソコン用のデータベース・ソフト(例えばファイルメーカーやAccess)をつないで,そこにデータを蓄える。こうしておいて,帳票出力はパソコン・データベース・ソフト側で作り込む。こうすれば,帳票出力のレイアウトを変更したい時には,エンド・ユーザー側で自由にレイアウトや表示項目の変更が可能となる。

 印刷が必要なときは,Webアプリケーション側からデータベース・ソフトをコントロールしてもいいし,担当者が直接印刷指示を出しても構わない。要するにデータベースに売り上げなどのデータが格納されてしまえば,あとはパソコン・ソフトをアレンジするだけだから,プログラミングの知識がない人でも改良作業ができるというわけだ。

 最近,パソコンを使っていても大規模なシステム開発に巻き込まれてしまい,パソコンならではの小回りの利くソリューションが実現できないとお嘆きのあなた! 一度,発想の転換をしてみられるのはいかが?

(林 伸夫=パソコン局主席編集委員)