「プログラミングを始めよう」「プログラミングの幅を広げよう」としたときに,どのプログラミング言語を選べばよいのだろうか。もちろん趣味のためか,それとも職を得るためか,目的が異なれば選択肢も変わってくる。しかし一般的にいってパソコンの世界では,入門用としてVisual Basic,Visual C++,Javaが多く選ばれているようだ。

 Visual Basicは,Windowsに完全に依存しており,文法上の落とし穴も多い。しかし,プロトタイピング・ツールとしては優れており,入門もたやすい。VBA(Visual Basic for Applications)やVBScriptといった手軽に使えるスクリプト言語にも応用が効く。

 Visual C++は,ポインタの利用法,MFC(Microsoft Foundation Classes)の習得という二つの壁を乗り越えさえすれば,VxD形式のデバイス・ドライバからデスクトップ・アプリケーションまでWindows用のプログラムは何でも作ることができる。Javaは,デスクトップ・アプリケーションこそ伸び悩んでいるものの,各種のOS上で動作する3階層のWebアプリケーションや,携帯端末・携帯電話向けなら独擅場だ。

 筆者が担当する日経ソフトウエアでは毎号,プログラミング関連の記事を10本掲載している。読者アンケートの結果によると(2001年7月号の場合)では,「どの記事が読みたくて購入しましたか」と「良かった記事」をあわせると,「JBuilderではじめるJavaプログラミング」「C/C++基礎の基礎」「すすめ!C#」「Visual Basicでいこう!」の順だ。

 今後,どの言語を学びたいかという質問ではないので,どの言語の入門者が多いとはいちがいに言えないが,傾向は分かって頂けるだろう。

次のプログラミング言語を選ぶとき

 一からプログラミングを学ぶ場合に比べて,すでにプログラミング言語を習得していて,次の一歩をどちらに踏み出すかを決めるときの方が悩みは深いのではないだろうか。

 この場合に,2001年末にも製品版が登場する.NET対応の開発環境をどうとらえるかによって,選択の方向は大きく変わることになる。すでに日経ソフトウエアの誌面でも,C#の連載記事がVisual Basicの記事よりも好まれていることからも影響の大きさがわかる。

 .NET対応が,単にJavaが強みを発揮するWebアプリケーションに食い込むためだけのものなら,普及にまだ時間がかかると無関心を決め込むこともできる。しかし筆者のみるところ,Visual Basic.NETはそれ以上のものだ。

 ただ,C#への移行期には混乱が起こりそうだ。Visual Basic,C#,C++,JScriptの四つの言語が同じクラスライブラリであるCLR(Common Language Runtime,共通言語ランタイム)を利用するように仕様を変更しなければならない。単純な文法について配列の規則や,関数へのパラメータの渡し方も変わるからだ。

 Javaプログラマには進むべき方向について悩みはないし,Cプログラマもそうだろう。問題はVisual Basicプログラマだ。どうすればよいのだろうか。

 ここまで読んでいただいた読者の方にお願いがある。プログラミングの入門者,次のプログラミング言語に何を選ぶべきか迷っている他の読者向けに,オススメの言語を「皆様の評価」としてぜひ書き込んでいただけないだろうか。

(畑 陽一郎=日経ソフトウエア)