米Microsoftは,このほどWindowsの次期デスクトップOS「Windows XPのベータ2英語版」の提供開始を発表した。Windows XP英語版は今秋の発売を目標に開発が進んでいる模様。日本語版についても早ければ4月にベータ2が提供され,年末商戦までには製品の発売が始まると推測される。

 しかし,Windows XPのような新しいWindows OSの登場は,企業ユーザーにとって新たな悩みを生む可能性がある。複数種類のWindows OSが混在が進むことによる管理負担の増加である。

 現在,多くの企業ではWindows 95/98が多く使われていると思われる。

 日経Windows 2000が2000年9月から10月にかけてユーザー読者(約1000人)に対して行ったアンケート調査では,「現在最も多く使われているクライアントOS」として31.5%の回答者がWindows 95をあげた。Windows 98(Second Edition含む)の22.1%を加えると5割強を占める。

 これに続いて多く使われているのがWindows NT/2000だろう。前述した調査では,Windows NT Workstation 4.0が25.0%で,Windows 2000 Professionalの3.8%を加えると3割弱に達する。

 この結果は,複数の企業における最も多いWindows OSの分布を示したものだが,1つの企業を取り上げると複数のWindows OSがこれらと似た比率で混在しているパターンが少なくないと推測される。

 調査時点では発売されていなかったが,現在はWindows Meもある。これでWindows XPも発売されれば,会社のなかに存在し得るWindows OSは,おおざっぱに分けてもWindows 95/98/NT 4.0/2000/Me/XPの6種類になる。Windows 98 Second Editionのようなレベルまで区別すればもっと増える。

 同じMicrosoft製のOSといっても複数種類が混在すると管理は面倒である。必要とするハードウエア・スペックや動作するアプリケーションなどは各OSで少しずつ違っている。エンド・ユーザーのサポートをする場合も,細かいところで操作が異なるところが面倒である。

 Windows XPが発売されると,Windows NT 4.0やWindows 98が2世代以上前の製品になることも気になる。Microsoft製品はバージョンが2つ以上前になるとサポートが手薄になる傾向が強い。特に3世代前となったWindows 95は,Microsoft社の最新サーバー製品のクライアント・モジュールのサポートOSから外れる傾向にある。Windows XPもWindows 95からのアップグレードはサポートしないようだ。社内のWindows OSの種類を絞り込んでいても古いものであれば世代交代を考える必要が出る可能性がある。
 もちろん,複数種類が混在する環境を一気に整理することは難しいことが多いだろう。費用がかかることであり,必ずしも簡単に解決する問題ではない。

 しかし,Windows XPは,Windows NT/2000系列をベースにしたOSであり,Windows 95/98系列のOSは今後開発されないという問題もある。こうした大きな変化があるWindows XPの発売が近づく今,社内にあるWindows OSの整理や世代交代は長期的にでも取り組まざるを得ない課題の1つではなかろうか。

(干場 一彦=日経Windows 2000副編集長)