読者の皆様へ:12月5日付け「記者の眼」に関する若干の補足
まず初めにはっきりさせておくべきことは,「データセンターとは何か?」です。データセンターは,インターネットの幹線部分に近いところに設置したサーバー群の運用管理サービスを提供する業態である,ということが言えます。ここで注意すべきなのは,本来はデータセンターと言えば,サービスの対象はサーバーであってインターネット接続やトラフィックの経路制御ではないという点です。インターネット接続やトラフィックの経路制御は,インターネット接続事業者(ISP)の領域です。
もっとも実際には,データセンター事業はISPがサービスの一環として提供しているケースが多く,また,ISP的な機能を持たなければ十分なサービスを提供できないというのも事実です。それが,今回の記事にある「データセンター間のトラフィック」という表現につながっています。
次に,「パケットの経路制御は“悪”ではない。むしろ不可欠なもの」ということを確認しておきたいと思います。インターネットは,たくさんのIPネットワークが集まっています。ネットワーク間を結ぶ接続回線の太さも様々です。複数の回線で複数のネットワークがつながるわけですから,経路は無数に考えられます。こういった状況で,インターネット全体としての安定的な稼働を考えると,経路制御が必要になります。何らかの障害が発生した場合に,経路制御を使って問題のある部分をパスしたり,行き場のなくなったトラフィックを効率よく振り分けたりできるわけですから,経路制御は不可欠な手段だと言えます。ある特定のISPの経路制御のポリシーだけに注目しても,そのポリシーの善悪の判断は人によって違ってくるでしょう。
また,データセンターやISPもビジネスですから,ビッグ・ユーザーとそうでもないユーザーでは,なんらかのサービスの差を付けようとするでしょう。最近では,SLA(サービス・レベル・アグリーメント)という考え方もあって,ISPがサービス品質を保証するために,経路制御やパケットのフィルタリング,帯域の制御といったトラフィックの制御手法を駆使する局面も多いと考えられます。
さらに,こういった意図的な制御が特定の競合相手への対抗措置ではなく,spamメールなどの防止策の一つでもあるということを忘れてはならないと思います。つまり,spamがよく来るようなずさんなISPからのトラフィックは受け取りたくないと考えるわけです。もちろん,受け取らずに他に転送するなどということをすれば,転送先に迷惑をかけることにもなってしまいます。
最後に,ここまで書いてきたことが正しくユーザーに受け入れられるには,「ISPやデータセンターが自社のポリシーをはっきり公開している」という条件がつくことを指摘しておきたいと思います。トラフィック経路などに関するポリシーがどういったもので,それがどのような理由によるものであるのかが,誰にも分かる形で公開されているべきだということです。どんなに正当な理由であっても,その正当性を理解してもらうには,十分な説明が必要です。そうすれば,それが“嫌がらせ”なのかどうかをもっと客観的に判断できるようになるはずです。そして,その判断を元に,データセンターやISPを選択できるわけです。
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