帝王切開の手術のため「AB型Rh(-)の献血依頼」を電子メールで呼びかけていた,日本医科大学多摩永山病院産婦人科の患者さんの手術が6月3日に無事終了した。

同大学がWWWサイト(http://www.nms.ac.jp/)で正式に発表した。

 今年の5月半ばから献血をよびかけるメールがネットを通じて送信されており(送信者は病院側ではなく患者さん側だそうだ),記者の手元にも別々のルートから何通か同じ内容のメールが届いた。

 そもそも,貴方の手元にこういうボランティアを呼びかけるメールが来た場合,どう対応するだろう?

・内容を一読して....緊急事態なので他人に転送する。
・内容を確認するために差し出し人に詳しい情報をメールで問い合わせる。
・取りあえずチェーンメールと判断して静観する。または他人に警告する。

 もし自分なら当然3番目を選ぶ。1番目のようにすぐ転送してしまうようでは素直過ぎる。いかに感動的な文章が書いてあっても信用してはいけない。2番目も危ない。インターネットのメールの差し出し人のアドレスは発信者が自由に設定できることが多く,あまりあてにならない。誰かのメール・アドレスをかたっているのかもしれないからだ。取りあえず静観するのがまだましで,もしあなたが管理者なら一応警告を発するべきだろう。それから背景の事情を(できればメール以外の手段で)問い合わせればいい。

 さて,日本医科大学にはかなりの問い合わせが集中したため,事情を解説するページをWWWサイトで公開することになった。全くの後知恵ではあるのだが,今回の場合,最初から信頼できるWWWサイト(例えば大学のWWWサイトなどが考えられる)を借りて告知し,その上でメールも送信する,というやりかただったらもっと分かりやすかったと思う。

 さて今後もう一つ問題になりそうなのは,先に出したメールが出回り続け,チェーンメール化することだ。冒頭に書いたようにすでに手術が無事に終っているのだが,そのことを知らないユーザーも多いようだ。筆者の手許にはなぜか午後になって以前と同じ内容のメールが3通も転送されてきている。

 今回のようなボランティアの呼びかけがチェーンメール化する例はけっこう多い。1997年に日本海でロシアの重油タンカーが流出事故を起こした際に,水産関係者への援助を呼びかけたメールがしばらく出回っていたこともある。発信元にも罪がなく,途中で転送した人も善意とあっては誰も責められない。気が付いた人が各自で止めるしかない。

(齋藤 淳=BizIT編集)