ようやく,本当にようやく,インターネット常時接続が我が家にも近づいてきた。しかし,その肝心な第一歩がなかなか踏み出せない。

 千葉県市川市に住んでいる私は,ADSLサービスも,無線による実験ネットワークも,ISDNの1チャネル分を占有するIP接続サービス(フレッツ・ISDN)も,ケーブルTVインターネットもすべてサービス圏外で極端なデジタルデバイド感を抱いてきた。しかし8月7日に,とうとう地元電話局でフレッツ・ISDNサービスが始まった。

 6年ほど前から電話回線以外に,ISDNを2回線引き込み,ネットワーク活用を徹底的に進めてきた私としては,64kbpsでのサービスに「後退」するのは,恥ずべき一歩だ。しかし通信料金が1/10以下に下がるのが,何にもまして決断要因となった。

 早速,NTT東日本のWWWページを訪れ,「フレッツ・ISDN」を申し込んだ。これで,月々のインターネット接続電話料金が4500円となる。さらに,当地のフレッツ・ISDNに対応しているプロバイダにも新しくアカウントを設定した。いつも東京電話を愛用している関係で「東京電話インターネット」にオンライン・サインアップ。月額使用料は使い放題で1750円。

 フレッツのほうは申し込み後,なんの反応もなく,受領確認のメールも来ない。一方の東京電話はサインアップが完了した瞬間から利用可能になると同時に,電子メールで受付確認とさまざまな設定情報が届いた。おかげで,早速各種機能をテストできた。やっぱりデジタルのサービスはこうでなくっちゃね。

 翌日になって,NTT東日本から申し込み受領の確認メールが来た。ところが,最後のフレーズに「工事開通日のお知らせをお待ち下さい」とひと言。以後,待つこと15日間。いまだに開通日がいつになるか,ナシのつぶて状態だ。せめて待ち時間くらいは教えてくれてもいいのではないだろうか?

 「フレッツ・ISDN」の開通は全く見込みなしなので,それを待つ間,普通のダイアルアップ接続でいろいろインターネット接続実験をしてみた。結果として,東京電話インターネットのほうは,東京電話以外のアクセス・ポイントからつなぐとメールが送れないことが分かり,ASAHIネットにも加入することにした。こちらは,無料プロバイダを除けば,業界最低価格の450円(フレッツ・ISDNからの無制限接続)を打ち出しているので,記者として使用感を試してみたくなったからだ。こちらはオンライン申し込みの翌日,アクセスキットが届き,これまた待ち時間なく接続可能となった。

 うーむ,こうしてみると,競争があるところと無いところでは,取り組み方に決定的な差があることを思い知らされる。サービス提供に対して客を尊重しないフレッツの態度はどう見ても納得しかねる。あまりに放っておかれるので,心配になって問い合わせ窓口に電話したら,無人応答電話が答えてくれたものの,それっきりだ。

 価格も,インターネット・サービス会社は2000円前後を中心に最低450円までの料金を打ち出している。まさに仁義なき戦いの状態だ。東京電話などはフレッツに対応することで,それまで収入があった回線使用料金が「ゼロ」になってしまうのに,無理して1750円の無制限アクセス料金を提示している。これに対し,「無競争地帯」にあるフレッツ接続料金の4500円均一はしばらく動かないだろう。

 NTTにとってフレッツ・ISDNは,施設利用効率が悪い仕掛けだから,できれば避けて通りたい気持ちも分からないではない。しかし,そんなにサービスしたくないのなら,それに代わる高速アクセス回線提供会社の出現を切に望みたくなる。ここ10年ずっと思い続けてきた願いが,今度の一件で,またまた大きくなってしまった。いろんなサービス業者が入り乱れて,光でも,無線でも,何でもいいですよ。1.5メガビット,とりあえず,最初は1万円でお願いします。