Web2100
 寺岡精工は,同社が開発,販売する「T@web」シリーズのPOSと店舗サーバーの累計出荷台数が8月中に1万台を突破する見込みであることを明らかにした。「T@web」シリーズのPOSと店舗サーバーは,ともにOSにLinux,データベースにPostgreSQLを採用している。

 寺岡精工では,2001年5月からPOSと店舗サーバーにLinuxとPostgreSQLを採用してきた。「T@web」という名称でわかるように,POS情報の分析や管理を,パソコンからWebブラウザで行えることなどが特徴だ。関西スーパーマーケット,丸久,ラルズなど同社のLinux搭載POSを導入している。6月末時点での出荷累計台数はPOS「Web2100」および「Web2200」などが8912台,店舗サーバー「TS-2100」などが706台だった。8月中には1万台を超える見込みだ。

 Linuxを採用した理由は「当時のWindowsに比べて,タスク切り替えが速く操作性が高かったことと,オープンソースだったこと」(T@webソリューション事業部開発グループ課長 岩野広昭氏)。データベースはOracleも検討したが,コストの面からPostgreSQLを選択した。店舗サーバーのWebアプリケーションはPHPおよびJavaで開発。技術面ではSRAが協力している。コストの低さを生かし,店舗サーバーとPOSの両方にPostgreSQLを搭載した。サーバーがダウンした際にもPOS上にデータを記録,サーバー復旧時にPOS上の販売実績データを自動的にサーバーへ送信する。

 当時の最新バージョンであるRed Hat Linux 7.1とPosgtreSQL 7.0.3を採用した。Red Hat Linux 7.1は2003年12月に米Red Hatのサポートが終了したが,ソースコードが公開されており,POSでは現在でも問題なく使用し続けている。POS用の特殊なデバイスのドライバ・ソフトウエアは自社で開発している。

 店舗サーバーは2005年4月にリニューアルし,PostgreSQL 8.0.1,Red Hat Linux 9にバージョン・アップした。PostgreSQL 8.0は2005年1月に正式リリースされたばかりだが,すでにスーパーマーケット数十店舗で実際に稼働している。

 POSでは添加物表示などで特殊な文字を使用することもあり,PostgreSQL 7.0.3からPostgreSQL 8.0.1への移行にあたっては文字化けによる問題もあったが「PostgreSQLの文字コードのマッピング・テーブルを入れ替えるなどの対応により解決した」(SRA)。PostgreSQL 8.0にしたことで「体感速度はかなり向上した。また耐障害性も向上した」(岩野氏)という。
 

(高橋 信頼=IT Pro)