国立情報学研究所 助教授 新井紀子氏
  国立情報学研究所は8月10日,同研究所が開発した情報共有サイト構築ツール「NetCommons」をオープンソース・ソフトウエアとして公開する。NetCommonsは,グループウエア機能やeラーニング機能を持つソフトウエア。「情報共有基盤ソフトウエアのデファクト・スタンダードを目指す」(情報学基礎研究系 助教授 新井紀子氏)としている。

 NetCommonsは,同研究所が2001年から開発しているソフトウエア。2003年から開始した実証実験プロジェクトでは教育機関やNPOなど約90団体に導入したという。「新島短期大学では,学生やOBへの情報配信で,1000人規模で使用していると聞いている」(新井氏)

 今回公開する最新バージョンは,オープンソースのコミュニティ・サイト構築ツールXOOPSをベースに開発した。PHP,MySQLの上で開発されている。XOOPSのアクセス権管理機能などを利用している。XOOPSも掲示板やカレンダーなどのグループウエア機能を備えるが,NetCommonsのアプリケーション部分は国立情報学研究所が独自に開発した。そのほか,個人のスケジュールやファイルを管理したりする個人ページ機能や,小テストを実施したり学習の進捗を管理したりするeラーニング機能も独自に開発した。「今後はXOOPSコミュニティとも連携し,成果を共有していきたい」(新井氏)という。

 国立情報学研究所 副所長 研究総主幹 東倉洋一氏は「eラーニングや情報共有ソフトウエアは外国産ソフトウエアへの依存度が高い。情報流通基盤の提供は国立情報学研究所の使命であり,国産のソフトウエアであるNetCommonsを今後も継続して開発,提供していく」と話している。

(高橋 信頼=IT Pro)