コンピュータ・ウイルス(悪質なプログラム)の届け出先期間である情報処理推進機構(IPA)は8月4日,7月中の届け出状況を発表した。それによると,ウイルスを見つけたという報告数は4536件(6月は4928件),そのうち実害があったのは17件(6月は39件)。報告件数が多かったウイルスは,「Netsky(1125件)」「Mytob(638件)」「Bagle(284件)」——だった。IPAではこれらのウイルスだけではなく,パソコン内の情報を収集して外部に送信する「スパイウエア」についても注意を呼びかけている。

 IPAでは7月20日にも,「実際に金銭的被害が発生している」としてスパイウエアに関する警告情報を公開している(関連記事)。報告されているスパイウエアとしては, オンライン・ゲームのID/パスワードを盗む「Lineage」や,メール・アドレスを盗む「Myftu」などがある。Myftuには,そのアドレスをアダルト・サイトに勝手に登録する“機能”も備える。

 スパイウエア対策として,IPAでは以下の5項目を実施するよう勧めている(詳細については,「パソコンユーザのためのスパイウェア対策 5箇条」として別ページで解説している)。

  1. スパイウエア対策ソフトを利用し,定期的な定義ファイルの更新およびスパイウエア検査を行う
  2. コンピュータを常に最新の状態にしておく
  3. 怪しいサイトや不審なメールに注意する
  4. コンピュータのセキュリティを強化する
  5. 万が一のために,必要なファイルのバックアップを取る

 同日,IPAは7月中の「不正アクセス届け出状況」も公開した。それによると,届け出件数は53件(6月は24件),そのうち実害があったのは10件(6月は22件)だった。

 被害の内容は,侵入が3件,メールの不正中継が1件,DoS(サービス妨害)攻撃が2件,アドレスの詐称が1件,その他が3件——だった。侵入被害の中には,フィッシングに悪用するためのWebコンテンツを置かれたケースがある。また,「その他」の中には,スパイウエアによってネット・バンキングのIDやパスワードを盗まれて,預金を他の口座へ移されたケースがあるという。

◎参考資料
ウイルス・不正アクセス届出状況(7月分)
スパイウェアによる被害の防止に向けた注意喚起

(勝村 幸博=IT Pro)