セキュリティキャンプ会場
実行委員長 三輪信雄氏

 経済産業省と財団法人 日本情報処理開発協会が主催する「セキュリティキャンプ2005」が8月2日,始まった。全国から公募で集まった30人の高校生や中学生などが,東京都内で6日間にわたり合宿形式でセキュリティ技術の実習を行う。

 セキュリティキャンプは昨年8月に第一回が開催された。参加資格は満20歳未満の若者。昨年の最年少参加者は15歳だったが,2回目となる今回の最年少参加者は13歳とさらに若くなった。

 講師陣には「掛け値なしに日本を代表するセキュリティ技術者が集まっている」(開講の挨拶に立った経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課長 小林利典氏)。独立行政法人 情報処理推進機構の園田道夫氏。NTTデータの宮本久仁男氏。テックスタイルの岡田良太郎氏。理化学研究所の渡辺勝弘氏。エネルギア・コミュニケーションズの濱本常義氏。NTTデータ先端技術の根津研介氏。日本高信頼システムの田口裕也氏。ネットエージェントの伊原秀明氏。中央大学研究開発機構の塩月誠人氏。三井物産セキュアディレクションの国分裕氏。講師陣の著書や監訳書だけで,書店のセキュリティ専門書コーナーの大部分を占める顔ぶれである。実行委員長はラック 代表取締役の三輪信雄氏が務める。

 参加する若者もただ者ではない。今年は30名の枠に63名の応募があったが,応募には「得意とする技術」,「インターネットにある問題点と改善方法」について記述しなければならず「きわめて優秀な参加者が集まった」(実行委員の日本情報処理開発協会 専務理事 三平圭祐氏)。自分でサーバーを運営している参加者も多く,前述した13歳の中学生は「小学4年生からパソコンの組み立てを始め,これまで14台を組み上げた。Linuxをインストールしたサーバーも作成した」という。

 実行委員長の三輪氏は「キャンプのカリキュラムをすべてこなせば,すぐにでもラックで働ける」とカリキュラムの密度を表現。と同時に「必ずしも今の形のセキュリティ業界に入らなくともいい。世の中を変えていっていほしい」と参加者への期待を述べた。「現在,我々がやっているのは“後付け”のセキュリティ。欠陥があったところを直して回っている。そうではなく,欠陥が発生しないようなビルト・インのセキュリティに変えていかなければならない」(三輪氏)。

 昨年セキュリティキャンプを受講した参加者は,今年はチューターとしてキャンプに参加した。約10人が,講師のアシスタントや参加者の相談相手となり,昼夜を共にする。彼らは昨年のセキュリティ・キャンプ終了後も,BlogやIRCで連絡を取り,交流を続けてきた。

 8月7日までの6日間には,講師による実習に加え,セキュリティ企業の見学,警察庁 サイバー犯罪対策課長 坂明氏や,検事の大橋充直氏による講義,若手セキュリティ技術者との交流会なども実施される。最終日には,参加者による研究発表会で締めくくられる予定だ。

(高橋 信頼=IT Pro)