NECは7月11日,同社のインターネット接続サービス「BIGLOBE」において,迷惑メール(スパム)対策を強化することを発表した。BIGLOBEのメール・サーバーを経由せずに送信されるメール(ユーザー自営のメール・サーバーから直接送信されるメール)の送信数を制御し,一度に大量のメールが送信されることを防止する。7月中旬から実施する。これにより,「BIGLOBEから送信される迷惑メールを9割削減する」(BIGLOBEパーソナル事業部長 古関義幸氏)。

 BIGLOBEでは複数の迷惑メール対策を実施している。その一つが,BIGLOBEのメール・サーバーでの大量メール送信の制限である。2004年6月以来実施している。これは,同一ユーザーが,BIGLOBEのメール・サーバー経由で一度に大量のメールを出せなくするもの。単位時間当たりに出せるメールの量が制限されるので,大量のメールを出そうとするととても時間がかかるようになり,迷惑メール送信事業者は“商売”にならなくなる。

 この対策により,BIGLOBEのメール・サーバー経由した大量メール送信はゼロになった。だが,この対策を回避するかのように,BIGLOBEのサーバーを経由させずに,他のISPや携帯電話キャリアのメール・サーバーへ直接送信されるメールが増加し続けた。現在では,BIGLOBEから出される全メールの9割にのぼっている。「そのほとんどが迷惑メールだと考えられる」(古関氏)。

 この迷惑メールを制御しようというのが,今回発表した対策である。具体的には,同一ユーザー(IPアドレス)から外部のメール・サーバーへ同時に張れるSMTP接続数を制限し,大量のメールを送ろうとすると長時間かかるようにする。

 なお,今回の対策の対象となるのは,動的に割り当てられるIPアドレスのみ。固定IPアドレスは制限の対象にならない。

 同社によると,自営サーバーからの直接送信をブロックする(外向きの25番ポートをふさぐ)予定はないという。25番ポートのブロックは,ぷららネットワークスなどが実施している。「ブロックすると,メーリング・リスト事業者などがBIGLOBE以外のユーザーへメールを送れなくなる。また,BIGLOBEユーザーが,他のISPのメール・サーバーを利用できなくなる。加えて,25番ポートを一律ブロックすることは,電気通信事業法などに抵触する可能性があり法的に“グレー”である」(古関氏)

 7月中旬から今回の対策を全国展開する。8月初めには完了する予定である。

◎参考資料
BIGLOBEから送信される迷惑メールの9割削減を実現~迷惑メール総合対策基盤「SMBA」を構築~(プレスリリース)

(勝村 幸博=IT Pro)