Michael Tiemann氏
 「Fedora Foundation設立の目的は,開発プロセスをもっとオープンにすること」――米Red Hat オープンソース・ソフトウエア担当副社長Michael Tiemann氏は7月5日,都内で開催された記者会見でこう語った。

 Fedora Projectは,Red Hatが支援しているLinuxディストリビューション開発プロジェクト。先進的な機能を取り入れ,短いサイクルでバージョン・アップを行う方針で運営されている。Fedora Projetcの成果は,Red Hatが販売している有償のディストリビューションRed Hat Enterprise Linuxに取り入れられる。

 Red Hatは6月,「Fedora Foundation」を設立すると発表した(関連記事)。Tiemann氏はこれまでの反省として,外部からの開発への協力が予想ほど得られなかった面があるとし,「FoundationのボードメンバーにはRed Hat社外からも人を招きたい」と話した。Fedora ProjectのRed Hatからの独立性を強めることで「もっと多くのユーザーに使ってもらい,もっと多くの開発者にプロジェクトに参加してもらい,もっと多くのイノベーションを生み出したい」と語った。

 Tiemann氏は,オープンソース・ソフトウエアの定義を策定しているOpen Source Initiative(OSI)の会長でもある。同氏は,オープンソース・プロジェクトはクローズドなソフトウエアに比べ高い品質のソフトウエアを生み出すと主張する。ウィスコンシン大学の研究によれば,大量のランダムなデータを入力しクラッシュさせる試験で,オープンソース・ソフトウエアはクローズドなソフトウエアにくらべ,優れた成績を示した。1995年のテストでSoalris上のアプリケーションは23%,Linuxは9%がクラッシュした。2000年のテストではSolarisは5年前と同じく23%がクラッシュしたのに対し,Linuxは0件に改善されていた。2000年はWindows 2000も対象に試験したが,80%以上のテストでクラッシュしたという。

 「調査によれば,オープンソース・ソフトウエアの開発者は少なくとも30万人,多い推計では110万人いると推定されている。数千のプロジェクトがすでに完成度の高い段階にある」と,Tiemann氏はオープンソース・ソフトウエア開発プロセスの優位性を強調した。

(高橋 信頼=IT Pro)