セキュリティ・ベンダーのフィンランドF-Secureは現地時間7月1日と2日,同社エンジニアなどによるブログ「News from the Lab」において,「セキュリティ・ベンダーでさえ,フィッシング目的のメールに間違われるようなメールを出している」として注意を呼びかけた。具体的には,HTMLメールにおいて,文面に書かれているURLとは異なるURLをリンクに張っているケースがあるという。顧客などにメールを送る際には十分注意したい。

 同社が指摘したのは,米RSA Securityおよび米Computer Associatesそれぞれが顧客などへ送ったHTMLメールである。

 RSA Securityが送ったのは,欧州で開催されるセキュリティ関連のカンファレンス「RSA conference in Europe」への参加を促すメール。メールには「Visit 2005.rsaconference.com/europe to find out more and to register.」という一文があり,「2005.rsaconference.com/europe」の部分にはリンクが張られている。当然,クリックすれば「http://2005.rsaconference.com/europe(あるいは https://2005.rsaconference.com/europe)」へ飛ぶように見えるが,実際に張られているリンクは「https://rsasecurity1.rsc03.net/servlet/cc5?jkHQTUUDQUVupsshQoPiihgLgxMqkLJmjLQJhuVaVR」。クリックすると,本物のRSA conference in Europeのサイトへ飛ばされるものの,リンクのアドレスを見る限りではフィッシング目的のメールに思える。

 Computer Associatesが送ったのは,同社ソフト「CA License software」のアップデートを促すメールである。メール中,同社のサポート・ページを説明する以下のような一文がある。「In general, please remember to monitor the SupportConnect web site (http://supportconnect.ca.com) on a regular basis <以下略>」。文中の「http://supportconnect.ca.com」にはリンクが張られている。しかし,実際のリンク先は「http://maestro.ca.com:8080/trk/click?ref=zo19sr69h-ca1x3358x111358」とされている。

 これらのメールはユーザーを不安がらせるとともに,そのメールを出した企業のセキュリティ意識を疑わせる。表記とは異なるURLをリンクに設定すべきではない。また,HTMLメールの利用もできるだけ避けるべきだろう。例えば,今回取り上げられたRSA SecurityおよびComputer Associatesのメールはいずれもテキスト・ベースで,HTMLメールにする必然性が全く感じられない。フィッシングが脅威となっている現在,企業のメール担当者などは十分注意する必要がある。

◎参考資料
How not to send email
How not to send email, part 2

(勝村 幸博=IT Pro)