日経BPコンサルティングは,「携帯電話利用動向調査2005」の調査結果を基に,携帯電話の番号ポータビリティ(MNP)実施後の通信事業者(キャリア)のシェア変動を試算した。

 調査結果では,MNPでユーザーが支払う手数料が1000円以下になった場合,au 以外のキャリアからauへの乗り換えが最も多く発生する。その結果,auのシェアはNTTドコモに並ぶことが分かった。MNPは,一定の手数料を支払うと,契約している通信事業者(キャリア)を変更してもそれまでの携帯電話番号を継続できる制度。手数料はまだ決まっていない。

 試算の条件は,MNPの手数料が1000円以下になった場合。この条件下で,調査対象者である携帯電話ユーザーの57%が,「MNPを利用してキャリアを乗り換えたい」と答えた。キャリア別に見ると,NTTドコモ・ユーザーの55%,auユーザーの50%,vodafoneユーザーの72%,TU-KAユーザーの63%が他キャリアへの乗り換えを希望しており,au以外のキャリアでは,現在のキャリアを継続するより乗り換える意向のほうが強かった。

 乗り換え希望先として多かったキャリアはau。NTTドコモの全ユーザーの39.5%,vodafone全ユーザーの36.9%,TU-KA全ユーザーの29.6%が,auに乗り換えたいと回答した。一方,auユーザーでは,乗り換え希望先のトップはNTTドコモで33.1%。しかし,auを継続したい人が41.9%で最も多かった。auは乗り換え先として最も注目を集め,現auユーザーのロイヤルティもほかのキャリアより高い。―――最近のau人気を裏付ける結果となった。

 このようなユーザーの乗り換えが全部起こったとして試算した結果,MNP実施後のキャリアのシェアは,NTTドコモが40%,auが41%,vodafoneが17%,TU-KAが2%になった。社団法人・電気通信事業者協会(TCA)が発表した2005年4月のシェアと比較すると,auのみが大躍進する一方,“ガリバー”の NTTドコモが16ポイント落ちてauとほぼ並び,vodafone,TU-KAもそれぞれシェアを落とすという大移動が起きることになる。

MNPによるキャリア変動予測

 ただ,今回の調査から,MNPの手数料が1000円より高くなるにつれ,キャリアを乗り換えようとする人が急減してシェアの変化も小幅になることが分かっている。キャリアのシェアがどの程度変化するかは,MNPの手数料の多寡ときわめて密接な関係があるといえる。

 この調査は,2005年2月に全国主要都市圏在住の1400人を対象に郵送調査法で行い,858人から回答を得た。2000年7月から10回目を迎える定点調査で,携帯電話の利用実態と動向を報告書「携帯電話利用動向2005」にまとめ,6月2日に日経BPコンサルティングが発行する。同報告書の調査項目などは,こちらのページから閲覧できる。

(馬島 亜矢子=日経BPコンサルティング シニアコンサルタント)