独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)は4月14日,HTTPでOS本体をダウンロードして起動するLinux「HTTP-FUSE KNOPPIX」を公開した。クライアント側には6Mバイトの起動プログラムを配布するだけで,ネットワークからOS本体を取得し起動する。これにより,様々にカスタマイズされたOSを,起動時にユーザーが選択でき,また常に最新バージョンのOSを使用することができる。

 産総研では2004年11月,ネットワークからOSをダウンロードし起動するLinux「SFS-KNOPPIX」を公開している。今回のHTTP-FUSE KNOPPIXではSFS-KNOPPIXの問題を解決した。SFS-KNOPPIXでは起動する度にダウンロードを繰り返す必要があったが,HTTP-FUSEでは一度ダウンロードしたデータ・ブロックファイルは再利用できる。

 SFS-KNOPPIXではOSを置いておくサーバーは特殊なファイル・システムが必要だったが,HTTP-FUSEではHTTPベースにしたことで,通常のHTTPサーバーやプロキシを利用できるようになった。容易にミラー・サーバーを作成でき,ネットワークの負荷を軽減できる。

 HTTP-FUSE KNOPPIXは, 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の未踏ソフトウェア創造事業として採択された「どこからともなくブートするOS」の成果の一つ。

 KNOPPIXは,CD-ROM1枚にOSとアプリケーションを収録し,CD-ROMから起動する1CD Linux。産総研は,KNOPPIXの日本語化と配布を行っている。HTTP-FUSE KNOPPIXはKNOPPIXをベースに産総研が開発したもので,KNOPPIXのデバイス・ドライバやアプリケーションをそのまま利用できる。

(高橋 信頼=IT Pro)