日本OSS推進フォーラムと独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は4月4日,資料「オープンソースソフトウエアのTCOガイド Ver 1.0」を公開した。同資料は,ユーザーがTCO(Total Cost of Ownership)の比較を行うための解説書。

 同ガイドでは,既存のTCOレポートに含まれている評価項目の整理,オープンソースを利用することでTCOの軽減が期待できる項目,オープンソースを利用する際に注意が必要な項目のリストとその説明などを記述している。

 問題のあるTCO算定の例として,Windows/UNIXの技術者をLinuxに転換させるための大きな教育費用や,オープンソースの知財問題に対する費用をTCOに算入しているレポートなどをあげている。前者については「UNIX/WindowsエンジニアのLinuxへの転換は容易であり,また,今後,LinuxやOSSミドルウェアを習得済みの新卒エンジニアを期待することもできる」こと,また後者については「現時点でOSSの知財問題で敗訴した事例はなく,オープンソースを対象にした知財保険が広く利用されているとは言えない」ことから,オープンソースのTCOを大きく押し上げる要因にはならなないとの見方を示している。

 オープンソースによりTCOの軽減が期待できる点としては,クライアント・アクセス・ライセンス(CAL)価格やミドルウエアの価格,セキュリティ・パッチ適用コストなどをあげている。注意が必要な項目としては,商用ミドルウエアとオープンソースのミドルウエアには機能や信頼性で差がある点,普及とともにLinuxもWindowsと同じ頻度で攻撃対象となる可能性がある点などをあげている。

(高橋 信頼=IT Pro)

◎関連資料
オープンソースソフトウエアのTCOガイド Ver 1.0