日経パソコンは、2004年に引き続き、主要企業のユーザビリティ(使いやすさ)を比較する「企業サイト ユーザビリティランキング 2005」をまとめた。

 首位は、2年連続で富士通。2位は日立製作所、3位は日本ヒューレット・パッカード(日本HP)だった。4位には、NTT東日本、日本IBMが入り、上位をIT関連企業が独占した。IT関連企業以外では、サッポロビール、三井住友銀行、三菱商事などが上位に入った。三井住友銀行(昨年の98位から7位に)やJR東日本(同80位から12位に)のように、一気に順位を上げた企業もある。一方、昨年、今年と下位に留まる企業も多くあった。Webサイトのユーザビリティへの配慮は、企業によって大きな温度差があることが明らかになった。

 使いやすいWebサイトを実現するには、単にWebページのデザインを見直すだけでは駄目だ。企業サイトに求められる要素は、時代とともに変化している。あらゆるユーザーがサービスを利用できるようにするアクセシビリティ対策、検索エンジン利用者への配慮、コンテンツの分かりやすさ、ブランディングなど多岐にわたる。

 今回の日経パソコンの調査では、昨年6月に発効したJIS(日本工業規格)のアクセシビリティ基準を参考に、高齢者や障害者などに対して配慮したつくりになっているかどうかを重視した。さらに、4月の個人情報保護法の全面施行を控え、個人情報保護方針の公開など、情報公開の進展度も評価した。

 富士通は昨年の調査に引き続き首位に立った。同社はWeb専任の部署を設置して、グループ全体のユーザビリティ確保に取り組んでいる。一般利用者による操作性検証も実施しており、操作性や用語の見直しも続けている。2位も昨年と同じ日立製作所だった。同社は2003年4月の大幅リニューアル後、日立グループ全体のユーザビリティの統一を推進している。2004年12月にはJISのアクセシビリティ指針をベースに社内ガイドラインを見直し、その周知徹底を進めている。

 一方、4月に全面施行となる個人情報保護法への対応も企業の急務だが、今回の調査結果を見ると対応はまだ不十分だ。個人情報保護法は、企業に対して、「取得した個人情報の利用目的の通知や公表」などの義務を課す法律だ。今や、ユーザーにとって、企業の情報を得るためのもっとも身近な手段がWebサイト。こうした情報をきちんとWebサイトに掲載することが、企業の責務といえる。ところが、今回の調査結果では、個人情報保護に関する情報を掲載したWebページに、個人情報の利用目的を記載しているサイトは43.3%、個人情報の管理体制を記載しているサイトは36.7%しかなかった。

(小野口 哲 =日経パソコン)

■得点の算出方法
調査対象は、国内の主要企業のWebサイト120カ所。「サイトの基本構造(20点満点)」「基本的な操作性(30点満点)」「画像、動画、音声などの扱い(15点満点)」「文字の表現方法やデザイン(15点満点)」「開示すべき情報の公開(20点満点)」の5分野、60項目について、100点満点で評価した。Webサイトの調査期間は2005年1月4日から2月15日。調査は日経BPコンサルティングが実施した。

■関連情報
・調査結果の詳細は、日経パソコン3月14日号に掲載しています。
詳細なランキングの算出方法と上位のWebサイトは、こちらでご覧いただけます。