新潟大法学部に在籍していた学生180名分の氏名や特定の講義の成績を収めたPDFファイルが,誰でもアクセスできる状態になっていたことが3月1日,明らかになった。同ファイルは新潟大のサーバーからは既に削除されていたが,ある検索サイトにキャッシュされていたという。現在ではキャッシュからも削除されている。同学部では調査委員会を設置し,詳細について調べている最中である。

 今回流出したのは,2000年前期に「紛争処理論」の講義を受講した学生の情報。学生の氏名,学籍番号および同講義の成績が記されたPDFファイルがインターネット上の検索サイトのキャッシュに保存されていた。

 調査委員会によると,今回の事件の経緯は次のとおり。まず,2005年2月のはじめ,前述のPDFファイルが誰でも入手できる状態になっていることが,同講義の担当講師から大学に報告された。一部報道では,卒業生からの指摘で発覚したとされているが,調査委員会では発覚の経緯については「調査中」として明言を避けた。

 この時点では,PDFファイルは新潟大のサーバーから既に削除されていた。いつごろ削除されたかについては「調査中」(調査委員会)。だが,ある検索サイトのキャッシュに同ファイルが保存されていて,その時点でもアクセス可能になっていた。なお,検索サイトの名称については「答えられない」という。同学部では,その検索サイトへ同ファイルの削除を依頼。現在ではキャッシュからも削除されている。

 今回の事件は,個人情報を収めたファイルが,インターネットからアクセス可能なサーバーに置かれていたことが,そもそもの原因だと考えられる。調査委員会の話を聞く限りでは,ユーザー認証などのアクセス・コントロールを施していなかった模様。

 ただし,同ファイルのURLは受講した学生だけに知らされていた。加えて,PDFファイルとしてだけ公開していた。調査委員会では「当時の検索サイトはPDFファイルの中身で検索することはできなかったので,当該講師が『これらの対処で十分』と認識した可能性はある」と推測する。とはいえ,「実際に担当講師がそのように認識していたかどうか」「そのような対処で十分だったのか」――などについては,現在調査中である。

(勝村 幸博=IT Pro)