福井県産業労働部観光振興課は2月26日,同課が運営する「ふくいドットコム」のメール・マガジン登録者およそ4000名に対して,ウイルス添付メールを誤って配信したことを公表した。同課では,誤配信が明らかになった時点でメール・マガジンの配信システムを停止した。現在は,同システムのセキュリティを強化している最中。万全の体制を整えた上で,メール・マガジンの配信を再開するという。

 ふくいドットコムとは,福井県の観光情報を提供するWebサイト。Web上で情報を提供するとともに,月2回程度メール・マガジンも配信していた。そのメール・マガジンの登録者に,ウイルス(Netskyの一種)添付メールを配信してしまった。

 同課によると,次のような運用体制でメール・マガジンを配信していた。まず,担当者がメールの原稿を作成する。次に,ある特定のメール・アドレスへその原稿を送信する。すると,メール・マガジン配信サーバーは,登録者全員にその原稿が記載されたメール・マガジンを送信する。

 今回,この「特定のメール・アドレス」へウイルス添付メールが送信されたため,登録者全員にウイルス・メールが配信されてしまった。このアドレスは非公開で,メール・マガジンにも記載されていないので,「なぜこのアドレスに送られてきたのかは分からない。現在調査中である」(同課)。

 同課では,ウイルス・メールの受信者からの連絡で今回の事態を知った。連絡を受けると,同課ではメール・マガジン配信システムをすぐに停止した。そして,メール・マガジン登録者全員に,別のメール配信システムを使って,2回にわたってメールを送った。1通目は,ウイルス・メールを送ってしまったことを伝えるメール。おわびするとともに,添付ファイルを開かないよう警告した。2通目では,添付されたウイルスを開いた場合の対処法を伝えた。具体的には,ウイルス対策ソフト・ベンダーが無償で公開している駆除ツールなどを案内した。

 これらの対応のために,「苦情はほとんど寄せられなかった」(同課)。同課への連絡は,怪しいメールが送られたきたことを伝えるものがほとんどで,実際に感染したという連絡は数件程度だったという。

 今後は,原稿を配信システムへメールで送る運用をやめて,配信システムへ直接アクセスする運用体制にするという。また,送信するメールのウイルス・チェックを確実に実施するようにする。「今回の対策に限らず,システム全体のセキュリティを見直して,万全を期すようにしたい」(同課)。セキュリティ体制が整い次第,できるだけ早くメール・マガジンを再開する予定だ。

◎参考資料
ウイルスメール配送のお詫びとご報告

(勝村 幸博=IT Pro)