「一度広まったウイルスは,ネット上にいつまでも流通している。ほとんどの場合,原因はホーム・ユーザーだ。ホーム・ユーザーがインターネットの“weakest link(最も弱い個所)”になっている」---。英MessageLabsのCTO(Chief Technology Officer)であるMark Sunner氏は米国時間2月18日,世界最大規模のセキュリティ会議/展示会「RSA Conference 2005」において,ウイルスやスパム(迷惑メール)の現状について講演した。

 同氏は,ホーム・ユーザーの多くはセキュリティ対策を施さないため,ウイルス・メールを送信するようなウイルスにすぐ感染してしまう,と指摘。そして一度感染すると,気づくことなくウイルスを稼働させ続け,ウイルス・メールをまき散らし続けるという。

 また,ホーム・ユーザーはスパムの踏み台にもなっているという。原因は「ボット(bot:関連記事)」である。知らないうちにボットを仕込まれて,「ボット・ネット」の一部にさせられる。「今までは,インターネット上のオープン・プロキシ(誰でも利用可能なプロキシ・サーバー)が踏み台にされていた。現在では,ボットを仕込まれたホーム・ユーザーのパソコンが,オープン・プロキシとして使われている」(Sunner氏)

 ウイルスやスパムだけではなく,フィッシング目的のメールも多数出回っている。「メールの悪用は増加する一方」(同氏)。このため各国では悪質なメールに関する法規制が始まっている。これについてSunner氏は「もちろん法規制は必要だが,根本的な解決策にはなりえない。ユーザーへの啓蒙と,できる限りの技術的対策を施すことが重要だ」と強調する。

(勝村 幸博=IT Pro)