「電気通信事業者を中心とする『フィッシング対策推進連絡会』では,事業者間で情報共有を図るとともに効果的な対策を検討する。連絡会の開催期間は半年程度。連絡会終了後の夏ごろには,それまでの議論をまとめて,ガイドラインのようなものを公開したいと考えている」――。総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 消費者行政課の渋谷闘志彦課長補佐は1月24日,IT Proの取材に対して,同省が開催するフィッシング対策推進連絡会について説明した。

 フィッシング対策推進連絡会の参加者は,総務省ならびに電気通信事業協会やテレコムサービス協会,日本インターネットプロバイダー協会など。警察庁や特定のベンダーなどをオブザーバとして迎えることもある。

 1月19日には第1回会合を実施し,フィッシングの現状に関する情報を共有するとともに,今後の方向性について確認したという。同連絡会がフィッシング対策として検討することを予定しているのは,以下の3点。

(1)送信者認証技術の導入/促進(関連記事
(2)フィッシング・サイトへの対応(削除など)
(3)ユーザーやISPなどへの啓発

 特に(2)については,頭を悩ましているISPは少なくないという。「ユーザーから報告があっても,どういったサイトならフィッシング・サイトとして削除してよいのか,その判断が難しい。場合によっては(そのサイトの運営者から)訴えられる可能性がある。現状では,ISPがそのリスクを負って独自に対応している」(渋谷氏)

 そこで総務省では,連絡会での議論を通して「フィッシング・サイトへの対応手順などをまとめたガイドラインが作れないかどうか検討したい。ガイドラインを作れれば公開するし,できない場合でも,総務省としての考え方をまとめたようなコンテンツを公開したいと考えている」(渋谷氏)

 第2回会合は1月26日を予定している。その後は,月1回程度の頻度で開催するという。

 なお,フィッシング対策の連絡会としては,2004年12月に経済産業省(経産省)が「フィッシング・メール対策連絡会議」を開催している。「経産省の連絡会は,例えばヤフーやビザといった,名前を悪用される事業者が中心。一方,フィッシング対策推進連絡会は,通信事業者を対象としている」(渋谷氏)

 ただし,どちらの連絡会でも共通の話題(例えば,ユーザーへの啓発)については,情報交換などは行っているという。渋谷氏によると,「経産省のフィッシング・メール対策連絡会議には総務省(の担当者)がオブザーバとして参加している。総務省のフィッシング対策推進連絡会でも,第2回からは経産省(の担当者)をオブザーバとして迎える予定」だという。

◎参考資料
「フィッシング対策推進連絡会」の開催(総務省)
「フィッシング・メール対策連絡会議」の開催について(経済産業省)

(勝村 幸博=IT Pro)