「中小規模の企業では,最近になってようやく個人情報保護の重要性に気付き始めたようだ。とはいえ,気付いただけで『何をどうすればよいのか分からない』という企業は少なくない」――。AIU保険 経営保険業務部の中江透水部長は1月19日,「IT実践塾 個人情報漏洩対策編」セミナー終了後の記者会見で解説した。「企業間では“セキュリティ・デバイド”と呼ぶべき情報セキュリティに関する格差が生じている。企業規模によらず,リスクを正しく認識することが重要だ」(同氏)

 「IT実践塾 個人情報漏洩対策編」とは,マイクロソフトとAIU保険が実施している中堅・中小企業向けITセミナー(関連記事)。個人情報漏洩対策の啓発が目的。1月から6月まで,全国7都市で開催する。同日東京で開催されたセミナーは2回目。定員120名のところ,170名程度が参加し,立ち見が出たほどだった。

 とはいえ中江氏によると,「中小規模の企業が個人情報保護の重要性を認識し始めたのは,ここ最近だろう」という。専任の担当者を置けるような大企業あるいはセキュリティ意識が高い企業は,4月に全面施行される個人情報保護法に備え,以前から対策を進めている。しかしながら多くの中小規模企業では,今年になってようやく注目し始めたのが現状だという。「今から半年ほど前には,『来年の4月まではまだ時間があるから大丈夫』と言っていた中小企業は少なくなかった」(同氏)

 中江氏は「どういったリスクが存在するのかを認識することが重要」と強調する。現状のままでは何が問題なのか,どういった問題が発生する可能性があるのか,発生した場合にはどのように対応すればよいのか――を確認する必要があるという。「『何をどうすればよいのか分からない』と言って手をこまねいていると,時間はいたずらに過ぎるばかり。監督省庁が公開するガイドラインなどを参照して,できるだけ早急に個人情報保護法“対策”を始めるべきだ」(同氏)

◎参考資料
マイクロソフトとAIU保険会社が,中小規模事業所対象の個人情報漏えい対策の啓発活動で協業
経営広場-「マイクロソフト IT実践塾」

(勝村 幸博=IT Pro)