PostgreSQL Global Development Groupは1月19日,オープンソースDBMSの新版「PostgreSQL 8.0」を正式リリースした。新版の特徴は,アーカイブ・ログからデータベースを復旧するポイント・イン・タイム・リカバリ(ロールフォワードに相当)や,Windows上でのネイティブ動作,セーブ・ポイントによるトランザクションの一部のみのロールバック,テーブルを複数のディスクに分けるテーブルスペース機能など(関連記事)。

 ポイント・イン・タイム・リカバリは,アーカイブ・トランザクション・ログからデータべースを完全に復旧する機能。データベースが破損した際に,バックアップした時点だけでなく,アーカイブ・トランザクション・ログが残っているトランザクションまで復旧することができるようになった。

 これまでWindows上でPostgreSQLを動作させる場合,エミュレーション(Cygwin)を利用していたが,8.0ではネイティブに動作するようになった。これにより,Windows上での性能が大幅に向上する。

 セーブ・ポイントは,トランザクションのすべてではなく,トランザクションの一部のみをロールバック(元に戻す)機能。SQL標準として規定されている。

 テーブルスペースは,大きなテーブルやインデックスを,複数のディスク装置に分割して配置できる機能。データウエアハウスなど,巨大なデータベースでの処理性能を向上させることができる。

 また,メモリーとI/Oサブシステムの改善による性能向上も行われた。Adaptive Replacement Cache (ARC)アルゴリズム,バックグラウンド・ライター・プロセス,VACUUM遅延機能などにより「データベースへの負荷が突発的に高くなった時でも,負荷が予測しやすくなるとともに安定した性能が得られるようになった」(PostgreSQL Global Development Group)という。

 そのほか,関数,テーブル定義,データのインポートとエキスポート,オプティマイザ(関連記事),ログ,バックアップなどで改良や機能の追加が行われている。詳細はPostgreSQL Global Development Groupの発表文(日本語訳)にまとめられている。

 PostgreSQL 8.0は,PostgreSQLの公式サイトおよびミラーサイトなどでダウンロードできる。

 IT Proでは,来週公開する連載記事「PostgreSQLウォッチ」でPostgreSQL 8.0について詳細な解説を行う予定である。

(高橋 信頼=IT Pro)