マイクロソフトは1月12日,Windowsのセキュリティ・ホールをふさぐ修正パッチを3件公開した。セキュリティ・ホールの深刻度は,2件が最悪の「緊急」,1件が上からの2番目の「重要」。緊急の2件については,マイクロソフト以外のベンダーから既に公表されており,これらを突くウイルス(Webページ)や検証用ファイルなどが出現している。Windowsユーザーは,Windows Updateを実施するなどして,できるだけ早急にパッチを適用する必要がある。

 今回公表されたセキュリティ・ホールは以下の3件。(1)と(2)の深刻度は最悪の「緊急」に,(3)については「重要」に設定されている。

(1)HTML ヘルプの脆弱性により,コードが実行される (890175) (MS05-001)
(2)カーソルおよびアイコンのフォーマットの処理の脆弱性により,リモートでコードが実行される (891711) (MS05-002)
(3)インデックス サービスの脆弱性により,コードが実行される (871250) (MS05-003)

 (1)の「HTML ヘルプの脆弱性により,コードが実行される (890175) (MS05-001)」は,Windowsに含まれるHTMLヘルプのActiveX コントロール(hhctrl.ocx)に関するセキュリティ・ホールである。このセキュリティ・ホールを突かれると,任意のコマンドやプログラムを,最も制限が緩い「ローカル・コンピュータ・ゾーン(マイ・コンピュータ・ゾーン)」で実行させられてしまう。具体的には,細工が施されたWebページにアクセスするだけで,危険なプログラム(例えばウイルス)を勝手にダウンロードおよび実行させられる可能性がある。

 このセキュリティ・ホールは,ユーザーやマイクロソフト以外のベンダーによって,2004年10月に公表されている(関連記事)。その後,このセキュリティ・ホールを突くようなウイルス(Webページ)が出現している(関連記事)。セキュリティ・ホールの危険性を警告するデモ・ページも公表されている(関連記事)。とても危険なセキュリティ・ホールであり,セキュリティ・ホールを突く手法も明らかとなっている。影響を受けるユーザーはすぐにパッチを適用すべきである。

 このセキュリティ・ホールについては,Windows NT以外のすべてのWindowsが影響を受ける。Windows XP SP2も例外ではない。また,Windows NTについても,Internet Explorer(IE)6 SP1をインストールしている場合には影響を受ける。このため,ほとんどすべてのWindowsユーザーがパッチを適用する必要がある。

 修正パッチはWindows Updateやセキュリティ情報のページから入手できる。ただし,Windows 98/98 SE/Me用のパッチについては,Windows Updateからしか適用できない。

 (2)の「カーソルおよびアイコンのフォーマットの処理の脆弱性により,リモートでコードが実行される (891711) (MS05-002)」も,マイクロソフト以外から既に公表されているセキュリティ・ホールである(関連記事)。

 Windowsには,カーソル(.cur)やアニメーション・カーソル(.ani)およびアイコン(.ico)といったファイル形式を処理する方法に問題がある。このため,細工が施されたこれらの形式のファイルを読む込むと,ファイルに仕込まれた任意のプログラムを実行させられたり,Windowsをハングアップさせられたりする。細工の施されたファイルがWebページやHTMLメールに貼り込まれている場合には,それらをIEなどで表示させただけで被害を受ける。

 このセキュリティ・ホールについても,セキュリティ・ホールを突く検証用のファイルなどが公開されている。(1)と同様に,危険かつ悪用方法が明らかになっているセキュリティ・ホールなので,早急にパッチを適用したい。

 このセキュリティ・ホールについては,Windows XP SP2を除く,すべてのWindowsが影響を受ける。修正パッチは,Windows Updateやセキュリティ情報のページから入手できる。ただし,Windows 98/98 SE/Meについては,セキュリティ・ホールの影響を受けるものの,現時点(1月12日)ではパッチは用意されていない。同社の「よく寄せられる質問」によれば,用意ができ次第,Windows Updateから適用できるようにするという。

 (3)の「インデックス サービスの脆弱性により,コードが実行される (871250) (MS05-003)」は,Windowsのインデックス サービスに関するセキュリティ・ホールである。インデックス サービスのコンポーネントにはバッファ・オーバーフローのセキュリティ・ホールが存在する。このため,細工が施されたデータ(クエリー)を送信されると,任意のプログラムを実行させられたり,インデックス サービスをハングアップさせられたりする。

 ただし,インデックス サービスはデフォルトでは有効になっていない。また,リモートからこのセキュリティ・ホールを悪用するには,Internet Information Services(IIS)を経由させてデータを送信することになるが,デフォルトではIISからインデックス サービスへアクセスできない。これらの理由から,悪用された場合の危険性は大きいものの,セキュリティ・ホールの深刻度は「重要」に設定されている。

 影響を受けるのは,Windows 2000/XP/Server 2003。ただし,Windows XP SP2は影響を受けない。Windows NTやWindows 98/98 SE/Meも影響を受けない。修正パッチはWindows Updateやセキュリティ情報のページから入手できる。

◎参考資料
2005年1月のセキュリティ情報
HTML ヘルプの脆弱性により,コードが実行される (890175) (MS05-001)
カーソルおよびアイコンのフォーマットの処理の脆弱性により,リモートでコードが実行される (891711) (MS05-002)
インデックス サービスの脆弱性により,コードが実行される (871250) (MS05-003)
Microsoft Internet Explorer Multiple Vulnerabilities
Microsoft Windows Multiple Vulnerabilities

(勝村 幸博=IT Pro)