ノート・パソコンの紛失、盗難などよる顧客情報の流出や機密情報の漏洩が大きな問題となってきた。そんな中で日立製作所が4月にも、ハードディスクなどの記憶装置を内蔵していないノート型のネットワーク端末を発売する。発売に先立ち、この2月中に社内の情報通信部門に約2000台を導入し、使い勝手などのテストを実施する。

 発売予定のネットワーク型端末はA4のノート・パソコンと同じ大きさ。しかし、パソコンのように内部にデータを保存できないし,アプリケーションもない。このため端末からの情報流出の懸念はなくなるし、情報持ち出しの心配もなくなる。利用者は端末にIDなどを入力してから、大型サーバー上にあるアプリケーションやデータを使う仕組みになっている。

 こうしたシンクライアントは、すでにサン・マイクロシステムズなどが発売しているが、ほとんどはデスクトップ型で導入企業が少ないのが現状。日立はデスクトップ型よりも営業担当者などが外でも使うノート・パソコンの置き換え需要があると判断した。端末価格を10万円以下に抑え、単にネットワーク型端末を売り込むのではなく、ブレード・サーバーや大量な情報を保存できる大型ディスク装置を組み合わせた形でユーザー企業に提案するものと見られる。

(田中克己=編集委員室主任編集委員)