コンピュータ・ウイルスの届け出先機関である情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA/ISEC)は1月6日,2004年中の届け出状況を公表した。それによると,ウイルスを発見したという届け出は5万2151件で,2003年の届け出件数(1万7425件)のおよそ3倍にのぼった。これは,IPA/ISECが届け出受け付けを開始した1990年以降で,最も多い年間届け出件数だった。
届け出件数が多かった原因の一つは,メールで感染を広げる「Netsky」「Bagle(Beagle)」「Mydoom」――といったウイルスの流行。特にNetskyは大流行した。Netskyの年間届け出数は1万5895件と最も多く,10カ月連続でワースト1を記録した。
IPA/ISECによると,悪質なウイルスが多数出現したことも,2004年の特徴だという。単に感染を広げるだけではなく,パソコンにバックドアやキー・ロガーなどを仕掛けるウイルスが多数出現した。また,メール中のリンクをクリックするだけで感染する「Bofra」といったウイルスも出現した(関連記事)。
同日,IPA/ISECは2004年12月中のウイルス届け出も公表した。ウイルスの発見届け出は4905件(11月は5308件)で,届け出数が最も多かったウイルスは依然Netskyだった(1296件)。
また,2004年中および2004年12月中の不正アクセス届け出状況も公表した。それによると,2004年中に寄せられた不正アクセス届け出の総数は594件(2003年は407件)。そのうち,実害があったのは72件(2003年は126件)だった。
2004年12月中の不正アクセス届け出数は55件(11月は28件)。そのうち,実害があったのは4件(11月は8件)。実害があった4件はいずれもサーバーへの侵入で,2件がWebページの改ざん,もう2件はサーバーの不正利用だった。
◎参考資料
◆ウイルス・不正アクセス届出状況(2004年年間および12月分)
◆2004年ウイルス届出状況(PDFファイル)
◆2004年不正アクセス届出状況(PDFファイル)
◆コンピュータウイルスの届出状況について[詳細](PDFファイル)
◆コンピュータ不正アクセスの届出状況について[詳細](PDFファイル)
(勝村 幸博=IT Pro)