ミラクル・リナックスは2005年2月28日,64ビット版x86アーキテクチャに対応したLinuxを出荷する。名称は「MIRACLE LINUX V3.0 -Asianux Inside for x86-64」。米IntelのEM64Tおよび米AMDのAMD64に対応する。64ビット化により多くのメモリーが使用できるため,大規模システムでのOracleやJavaの性能が向上したとしている。

 32ビットOSでは4Gバイトだった,ユーザー・アプリケーションとカーネルの仮想メモリー空間は,64ビットOSでは512Gバイトに拡張される。これにより,Oracleではより多くのメモリーをキャッシュとして利用できるようになる。2400万(3Gバイト)の集計処理の時間を計測したところ,同一マシンでx86-64版Linux上のOracle9i(キャッシュ3Gバイト)は,x86版Linux上のOracle9i(キャッシュ1.2Gバイト)に比べ約40%性能が向上したという。

 米Red Hatもすでにx86-64版を提供している。ミラクル・リナックスでは「32ビット・バイナリの動作を保障,SJISのサポート,官公庁向け外字対応,障害時の情報記録(カーネル・ダンプ),XFSとReiserFSのサポート,Oracle向けのカスタマイズなどがRed Hat Enterprise Linuxに対する優位点」(コアテクノロジー部部長 伊藤達雄氏)としている。

 Intelには,Itaniam2など,もうひとつの64ビット・アーキテクチャIA-64がある。IA-64に対応するバージョンは,中国と韓国企業との共同開発OS「Asianux」としてすでに開発済みだが「MIRACLE LINUXとしての製品化時期は市場のニーズを見極めている状況」(伊藤氏)という。

 また同社は,サポートの拡充も発表した。従来,製品の初期出荷後6年間提供していたサポート・サービスを,初期出荷後7年間提供する。カーネル障害記録(ダンプ)の解析やパッチ提供を行う「エンタープライズ・サポート」(年間63万円),一時的なサポートを提供する「1ショット・サポート」(ダンプ解析52万5000円),24時間サポート(基本サポートの追加オプション,3万6750円から)など新しいサポート・メニューを設定した。

(高橋 信頼=IT Pro)