“電磁波セキュリティ(漏洩/侵入電磁波に関するセキュリティ)”の業界団体である新情報セキュリティ技術研究会(IST)は11月24日,公開セミナーを開催し,電磁波による情報漏洩の公開実験や,ISTが作成した「電磁波セキュリティガイドライン」に関する発表などを行った。

 公開実験では,市販されている10万円程度の受信機を利用するだけで,あるパソコン・モニターに表示されている映像を,別のパソコンで“盗聴”できることを示すデモンストレーションを実施した(上写真,拡大表示)。デモでは,あるパソコンから漏洩している電磁波を空気中/電源コンセント/電源コード経由で受信機でキャッチして,別のパソコンに表示させていた。表示された画像は不明瞭であったが,電磁波が漏れていること,および“盗聴”が可能であることは十分実感できた。

 また,1億円程度の「高性能測定装置」を使った公開実験も“披露”した(下写真)。こちらは,数メートル離れたノートパソコンの画面が,測定装置の画面上に明瞭に映し出されていた(写真の拡大表示)。

 そのほかセミナーでは,電磁波セキュリティに関する講演が行われた。例えば,参加者に配布した電磁波セキュリティガイドラインを解説する講演があった。ガイドラインは,電磁波による情報漏洩などを防ぐための指針や対策手順などをまとめたもの。「電磁波による情報漏洩の危険性を訴えるだけではなく,その対策についても広く伝えるべきだと考えている」(ISTの宮坂肇技術副部会長)。今回配布したガイドラインをISTのWebサイトでも公開するかどうかは,現在検討中だという。

 ISTが設立されたのは2001年9月のこと。「この3年間で,“電磁波セキュリティ”という言葉はある程度浸透してきたと思う。ISTとしては,今後も今回のようなセミナーなどを通して,電磁波セキュリティについての啓蒙活動を続けていきたい」(宮坂氏)

◎参考資料
第四回 新情報セキュリティ技術研究会 公開セミナー
報道発表「電磁波セキュリティガイドラインの策定について」

(勝村 幸博=IT Pro)