高度情報通信ネットワーク社会推進本部(IT戦略本部)情報セキュリティ専門調査会の「情報セキュリティ基本問題委員会」は11月16日,最初の提言となる「第1次提言」を取りまとめて発表した。提言の骨子は,(1)情報セキュリティに関する基本戦略を策定/実行する「情報セキュリティ政策会議(仮称)」をIT戦略本部に設置すること,(2)60名程度の「国家情報セキュリティセンター(仮称)」を設置すること――の2点。

 情報セキュリティ基本問題委員会は,情報セキュリティ分野の政策について一元的かつ集中的に議論し,その結果策定した中長期的な計画をIT戦略本部に報告する専門委員会。2004年7月から活動している(関連記事)。そして今回,最初に組織された「第1分科会」の議論の結果に基づき,最初の提言である第1次提言が発表された。

 提言では,情報セキュリティに関する組織/体制作りの必要性が述べられている。現在の問題点として,(1)情報セキュリティに関する基本戦略を策定/実行するための体制が不十分,(2)政府自身が情報セキュリティ対策を施すための統一的・横断的な体制/組織が不十分――の2点が挙げられている。

 そこで,前者を解消するために「情報セキュリティ政策会議(仮称)」の設置を,後者を解消するために「国家情報セキュリティセンター(仮称)」の設置を提言した。特に後者については,内閣官房情報セキュリティ対策推進室の山口英情報セキュリティ補佐官が7月の時点で言及していた(関連記事)。

 国内では,各省庁が独自にセキュリティ対策/政策を実施しているのが現状である。情報セキュリティ政策の“中核機関”として,内閣官房情報セキュリティ対策推進室が存在するものの,人員はわずか18名。そこで,同推進室を強化/発展させた形で,常勤60名程度の「国家情報セキュリティセンター(仮称)」を設立するよう提言している。

 今回発表された提言は,総理大臣を本部長とするIT戦略本部に報告される。また,情報セキュリティ基本問題委員会は,次の課題である「重要インフラの情報セキュリティ対策」について検討を開始する。

◎参考資料
情報セキュリティ基本問題委員会(内閣官房情報セキュリティ対策推進室)

(勝村 幸博=IT Pro)