Nelson Pratt氏
 
デスクトップLinuxワーキンググループの対象
デスクトップLinuxワーキンググループの方針
Linuxを使用するためにはアプリケーションをサーバー側に移行すべき
 「OSDLのデスクトップLinuxワーキンググループが目指しているのはWindowsクライアントの代替ではない。キオスク端末や技術系ワークステーション,POSなどだ。LinuxですべてのWindowsデスクトップを代替するのは不可能だ」――OSDL(Open Source Development Lab)のマーケティング・ディレクタNelson Pratt氏はこう語った。OSDLはLinuxの開発者であるLinus Torvalds氏がフェロー(主任研究員)として所属しているオープンソース推進団体。

 Pratt氏は11月12日,都内で会見し,OSDLの活動状況や各ワーキンググループ,2005年1月31日に米国で開催を予定しているイベント「OSDL Enterprise Linux Summit」などについて説明した。OSDLは2004年1月にデスクトップLinuxワーキンググループを発足させた。ワーキンググループには米Red Hat,米Novell,米IBM,米Sun Microsystems,米Hewlett-Packard,米Intel,NEC,富士通などが参加している。

 Pratt氏はデスクトップLinuxワーキンググループの方針について,前述のように説明する。「Windowsの代替としてデスクトップLinuxを使用するのは適切ではない。これがOSDLの方針だ。Linuxに移行するためには,アプリケーションの互換性が問題になる」。そのため,専用機や技術系ワークステーションへLinuxの採用を拡大するための活動を行う。言わば,従来UNIXワークステーションやPC UNIXが採用されてきた市場と言える。

 一般のデスクトップでLinuxを使用するためには「デスクトップのアプリケーションをサーバー側に移行し,特定のクライアント環境に依存しないようにする必要がある」とPratt氏は指摘した。

 アプリケーションに関しては「Mozilla Firefoxは間違いなくInternet Explorerより優れている。しかし,Internet ExplorerがWindowsにバンドルされていることがFirefox普及の妨げになっている」と指摘。また「Microsoft OfficeからOpenOffice.orgに移行するには,ユーザーの再教育が必要になる。まだMicrosoft Office導入されていない環境,例えば中国やアジアなどの新興市場に浸透するだろう」との見方を示した。

(高橋 信頼=IT Pro)

【追記】
写真4「デスクトップLinuxワーキンググループの対象」を追加しました。(2004/11/17)