Louis Suarez-Potts氏
 「Microsoftから特許侵害で訴えられることはないと考えている」。オープンソースのオフィス・スイートOpenOffice.orgのコミュニティ・マネジャであるLouis Suarez-Potts氏が来日,10月22日の関西オープンソース2004(関連記事)での講演でこう語った。

 OpenOffice.orgはMicrosoft Officeと高い互換性を備える。そのため,Microsoftが特許を侵害しているとして訴える可能性がある。OpenOffice.orgは米Sun Microsystemsが開発しているが,SunとMicrosoftが和解してクロスライセンス契約を結んだ際の契約に,「SunがOpenOffice.orgをベースに商品化したStarOffice(日本での商品名はStarSuite)は免責されるが,OpenOffice.org利用者の告訴は可能」という条項が存在するとして,最近欧米で話題になった。

 この問題に関して,Louis Suarez-Potts氏は「OpenOffice.orgはSunではないので,Sunのビジネスについては関知しないが,OpenOffice.orgはMicrosoftと競合関係にはない。競合しているのはSunのStarOfficeだ。OpenOffice.orgはMicrosoft Officeと補完関係にある。例えばMicrosoft Offieはバスク語にローカライズされていない。OpenOffice.orgがあることで,バスク語ユーザーはMicrosoft Officeとデータをやりとりできる」として,Microsoftから訴えられることはないと考えているとの見解を示した。

 Louis Suarez-Potts氏は,米Collabnetという会社に勤務している。インターネットでのOpenOffice.orgの配布を担当している企業。「私はSun Microsystemsではなく,OpenOffice.orgのために働いている」(Suarez-Potts氏)。

 講演では,Suarez-Potts氏は,現代のオープンソース・ソフトウエアは企業によりマネージされると語った。perlなど古くからあるオープンソース・ソフトウエアはコミュニティにより開発されたが,OpenOffice.orgは企業により開発されている。しかし,Sun以外に10以上の企業がOpenOffice.orgを拡張したものを製品として販売し,収益を得ている。企業によりマネージされたソフトウエアでも,別の会社がビジネスにすることができると語る。

 「OpenOffice.orgは3100万回ダウンロードされ,44の言語にローカライズされている」とSuarez-Potts氏は普及状況を紹介。しかしポーティング作業は膨大であり「各国語にポーティングする人材がもっと必要」と訴えた。

(高橋 信頼=IT Pro)

◎関連資料
Sun MicrosystemsとMicrosoftが米SEC(証券取引委員会)に提出した資料
LIMITED PATENT COVENANT AND STAND-STILL AGREEMENT