「スパム(迷惑メール)は増える一方だ。すべてのインターネット・メールに対するスパムの割合は,2001年は8%だったが,2004年には65%になった。それというのも,スパム送信業者が大もうけをしているためだ」――。米Symantecのネットワーク&ゲートウェイセキュリティソリューション担当上級副社長のEnrique Salem氏は9月10日,日本法人シマンテックが開催した記者説明会において,スパム問題について講演した。以下,同氏の発言内容の一部をまとめた。

 スパム送信業者は大もうけしている。ネット上のツールを使えば,スパムを送信することは容易だ。1億件程度のメール・アドレスは100ドル以下で入手できる。コストもかからない。スパムに対する返信率がわずか0.001%でも採算が取れるほどだ。実際には,返信率はそれ以上。送信業者とすれば,スパムを出せば出すほどもうかるようになっている。スパム業者は,1社につき毎日2億件にのぼるスパムを送信している。スパムを減らすには,スパム送信業者がもうからないようにすることが第一だ。

 そのためには,まず,技術的な対策を施して,スパムがユーザーに届かないようにする。明らかにスパムと分かるメールについては,ネットワーク・レベルでフィルタリングする。例えば,Symantecが買収した米TurnTideの製品「Anti-Spam Router」などを使えば,ネットワーク・レベルでのフィルタリングが可能だ。

 法整備も急務だ。現在の法律は,ほとんど抑止力になっていない。他国からスパムを送信されると,スパムを送られた国ではどうしようもないのが現状だ。スパムを送信した業者を,その国から引き渡してもらえるような法律が必要だ。

 エンド・ユーザーへの啓蒙や教育も重要である。だれも返信しなくなれば,スパム送信業者は仕事にならない。ユーザーとしては,覚えがないメールに絶対に返信しないようにする。これは,フィッシング対策としても重要だ。

(勝村 幸博=IT Pro)