米SCO Groupが自動車大手DaimlerChryslerを契約違反として訴えていた訴訟(関連記事)について,米裁判所は米国時間7月21日,SCOの主張を棄却した。SCOのLinux訴訟を追求しているサイトGroklawや米メディアが報じた。Groklawでは,DaimlerChryslerの対応の遅れという細かい点以外は,SCOの主張は全て棄却され,「SCOによるDaimlerChryslerへのアクションは事実上終わった」としている。

 SCOはLinuxの知的所有権をめぐり米IBMや米Novellなどを訴えていたが,2004年3月にはユーザー企業であるDaimlerChryslerと自動車用品販売チェーンの米AutoZoneまで提訴を拡大した。DaimlerChryslerについては,「UNIXソフトウエア契約の規定の承諾書提出を拒否し,同契約2.05章に違反した」(SCO)として,損害賠償を求めていた。

 Groklawなどによれば,米国時間7月21日米ミシガン州オークランド郡巡回裁判所で,ヒアリングが実施された。SCO,DaimlerChrysler双方の弁論の後,「契約2.05章の破棄に関して,DaimlerChryslerは適切な期間内に応答を提出しなかった」点を除き,SCOの主張は全て棄却された。

 DaimlerChryslerへの訴訟に関しては,SCOはLinuxの知的財産権については提訴内容に含めていなかった。AutoZoneに対しては「SCOが権利を有するコードが含まれるLinuxを利用し,著作権を侵害した」と主張,損害賠償を請求している。

(高橋 信頼=IT Pro)