フレッツフォンVP1000

 NTT東日本およびNTT西日本は,Bフレッツ,フレッツ・ADSL用のIPテレビ電話端末「フレッツフォンVP1000」(写真)を9月1日から販売する。8インチのタッチパネル式液晶ディスプレイと30万画素のカラーCMOSカメラを備え,テレビ電話やインターネット端末として利用できる。価格は6万2790円。

 VP1000は番号ボタンやキーボードを持たず,タッチパネルで操作する。電話帳や短縮ダイヤル機能を備え,電話番号を覚えていなくても発信できる。相手に電話をかけたときに最初は,映像を映さないIP電話として接続して,それぞれが「映像送信」というボタンを押したのちに,テレビ電話として機能するようになる。帯域は最大2Mbpsを用いる。

 CMOSカメラは上下に回転させることはできるが,左右に首を振ることはできない。その場合,台座ごと左右に向きを変えるしかない。液晶パネルの部分と台座は一体化しており,折りたたんだり,角度を変更することはできない。台座部分の奥行きは,横幅よりも約12ミリ長い約227ミリある。このため,そこそこの設置スペースが必要となる。

 VP1000はIPテレビ電話機能のほかに,Webブラウジング機能,電子メール送受信機能,Lモードonフレッツ対応機能を備える。VP1000の中身はWindows CE端末で,ハードウエアCODECによる2MbpsまでのWindows Media 9の再生にも対応している。USBポートを2つ備え,今後,USBカメラやキーボード,無線LANアダプタなどを接続して利用できる可能性がある。

 VP1000を使ったテレビ電話サービスには2種類ある。1つは,050で始める番号を使ったIP電話と同様に,インターネット接続事業者(ISP)が提供するサービス。もう1つは,NTT東が9月1日から始める,NTT東のサービス・エリア内だけで利用できるサービスである。

 前者については,まだISP各社からの発表はないが,NTTグループのISPである,ぷららネットワークスは対応するとしている。9月1日までには大手ISPを中心にIPテレビ電話サービスの発表があると見られる。ISPによって提供されるIPテレビ電話サービスでは,050で始まる電話番号が用いられる。

 後者のサービスでは,NTT東が提供するIPv6を用いた閉域網「FLETS.Net」を用いる。FLETS.Netの利用料は月額315円だが,IPテレビ電話を用いる場合はFLETS.Netの利用料込みで月額525円となる。この定額料金で,同じFLETS.Netのユーザー間でIPテレビ電話が使い放題となる。VP1000は,FLETS.Netで以前から提供しているパソコン・ベースのIPテレビ電話「FLET'S.Netナンバーソフトフォン」とも通信できる。このソフトフォンで用いているFLET'S.Netナンバー(6桁の数字)を,VP1000を使ったIPテレビ電話でも用いる。

 NTT西では,FLETS.Netに類似したコミュニケーション・サービスとして「フレッツ・コミュニケーション」を提供している。しかし,現段階ではフレッツ・コミュニケーションはIPv6化されていないため,フレッツ・コミュニケーションでVP1000を利用することはできない。NTT西のサービス・エリアのフレッツ・ユーザーに対しては,IPv6網がサービスされるまでは,ISPによる050番号を用いたIPテレビ電話サービスのみが提供される。NTT西は,IPv6網の提供時期は未定としている。

 NTT東エリアのユーザーの場合,ISPのサービスを利用するか,FLETS.Netのサービスを利用するか,最初の利用時に設定する必要がある。1台のVP1000で両方のサービスを同時に利用することはできないし,利用開始後,サービスを切り替えることも基本的にはできないとしている。

(和田 英一=IT Pro)