ドイツのミュンヘン市は2004年6月18日(現地時間),同市役所のデスクトップ・パソコン1万4000台をLinuxに移行することを正式決定したと発表した。この計画は,約1年前から調査が続けられてきたが,2004年6月16日の議会において正式に承認された。

 このLinux移行計画は「LiMux - Die IT Evolution」と呼ばれる。LiMuxはLinuxとMuenchen(ミュンヘン)を合成して作られた造語。プロジェクトは2004年秋から開始され,5年間にわたってのゆるやかな移行となる。移行をスムーズにするために,女性従業員や補助職員も含めた広範な教育が提供される。

 さらに「移行にあたり,障害や問題が起きないということはありえない」(ミュンヘン市)。ミュンヘン市では,移行を成功させるために,外部の企業およびオープンソース・コミュニティと協力していくとしている。

 ミュンヘン市では,移行が必要な理由として「米MicrosoftがWindows NT 4.0のサポートをストップすること」をあげており,またオープンソース・ソフトウエアを選択する理由として「ITインフラストラクチャのベンダー非依存性を高める」ことと「ソフトウエア市場での競争拡大と,それによる長期的なコスト削減」を挙げている。

 米Novellによれば,ミュンヘン市が採用するLinuxディストリビューションは同社のSUSE Linuxである。SUSE Linuxはドイツに本拠を置いており,米Novell SUSE Linux BU CTO Juergen Geck氏は,6月初旬の会見で「ミュンヘン市のLinuxへの移行はここ数週間以内に正式決定されるとの見通しを示していた(参考記事)。

(高橋 信頼=IT Pro)

■ドイツ ミュンヘン市のLinux移行計画のページLiMux - Die IT-Evolution