「本日の新聞で『中国やタイなど日本を含むアジア12カ国で,Linux搭載パソコンを今夏発売する』という報道があったが,翻訳の行き違いがあった。現在のところ,日本での発売は未定だ」――米Hewlette-Packard(HP)のLinux Enterprise Storage & Servers Business Unit Vice PresidentであるMartin Fink氏は6月3日,日本で行われたイベント「Linux World Expo/Tokyo 2004」の講演でこのように述べ,新聞報道を一部否定した。

 Fink氏は「HPはアジア12カ国でTurbolinuxを搭載したパソコンを発売できるという契約をターボリナックスと結んだが,主に中国やインドなどコストに敏感な発展途上国を狙っている。日本での発売は今のところ予定していない」と,12カ国全てで今夏発売するわけではないと説明した。ただし「もし日本での需要が高まってくれば,日本でもTurbolinuxを搭載したパソコンを発売する」と,今後の状況によっては日本でも発売する可能性があることを示唆した。

 講演でFink氏は,米IDCのデータを引用し「HPは過去2年間,ワールドワイドのLinuxサーバー出荷額および出荷台数で1位」と述べるなど,Linuxに全社を挙げて取り組んでいることを強調した。また「Debian GNU/LinuxやApache,Sambaなど多くのオープンソース・コミュニティにHPの技術者が主要な開発者として参加している」とコミュニティへの貢献をアピール。HP社内でも4500以上のシステムがLinuxで動いていることを紹介した。

 またHPは,米SCO Groupからの訴訟に対する免責保証を提供しているが,Fink氏は「免責保障は日本でも有効だ」と明言。「HPと契約を結んでいれば,仮にSCOから訴えられ,いかなる判決が出ようとも,HPがすべての訴訟費用を負担する。負担金額に上限は設けていない」

(高橋 信頼=IT Pro)