JCBは5月17日,同社をかたってカード番号などを送らせようとする詐欺メールを警告した。同社では,個人情報をメールで問い合わせることは絶対にないので,そのようなメールには返信しないよう注意を呼びかけている。なお,実際の被害は報告されていない。

 同社によると,詐欺メールの件名は「おめでとうございます一万円分のJCBカードの当選です」。メールの本文では,「当選を確定させるため,あなたの会員番号(カード番号)や有効期限などをこのメールの返信として送ってください」といった内容が書かれている。送信者アドレスは同社とは無関係の,あるプロバイダから付与されたと思われるアドレスで,特に“工夫”はされていないという。ただ,本文には「暗証番号は他人には絶対に知らせないでください」といった,もっともらしい文章も書かれている。

 今回の詐欺メールはJCB会員をターゲットにしているものの,メール自体は不特定多数に配信されている。同社では5月17日に,会員ではない人物からの問い合わせで詐欺メールの存在を知った。その後,現在(5月21日)までにメールあるいは電話による問い合わせは6件あり,そのうち4件が会員以外の人物からだったという。

 現在のところ,同社には被害報告は寄せられていない。同社では,関係機関やプロバイダなどに連絡して,詳細を調査中だという。また,5月19日以降,同社のインターネット・サービス「MyJCB」会員へ,今回の詐欺メールを警告するメールを送信している。加えて,同社のカード会員全員に向けて,注意を促す資料などを送付する予定である。

 今回はたまたまJCBの名前が使われたが,別の企業名をかたる詐欺メールが出現する可能性も高い。信頼できる企業から送られてきたように見えるメールでも,その返信として個人情報を送ってはいけない。メールから誘導されたWebサイトに個人情報を入力する場合にも要注意である。“フィッシング”である可能性がある(関連記事)。今閲覧しているサイトが,本当にその企業のサイトであるかどうかを確認してから個人情報を入力したい。メール中のリンクをクリックしてアクセスした場合には,偽サイトへ誘導されている可能性がある。

◎参考資料
「JCBクレジットカードセンターを装うEメールにご注意ください」

(勝村 幸博=IT Pro)