NECは,PostgreSQL,MySQLなどオープンソース・ミドルウエアに対するサポート・サービスをメニュー化し,5月20日から正式に提供を開始する。サービスの名称は「OSSミドルウェアサポートサービス」。

 対象となるオープンソース・ミドルウエアは以下の通り。DBMSのPostgreSQLとMySQL,Java APサーバーのTomcat,Windows互換ファイル・サーバーSamba,メール・サーバーのsendmailおよびqpopper,全文検索プログラムNamazu,ネットワーク監視ツールUCD-SNMP,通信暗号化ツールOpenSSHとOpenSSL,Webキャッシュ/プロキシ・サーバーのSquid,DNSサーバーBind,ファイル転送サーバーWU-FTPD,WebサーバーApache。

 「ハイグレードサービス」と呼ぶメニューでは,オープンソースを活用したシステムのプロジェクト管理や構築経験者がサポートにあたる。また「ハイスキルサービス」と呼ぶメニューでは,ソースコードの調査が可能な技術者が対応する。「場合によっては,NECがバグ修正パッチを提供することもあり得る」(NEC Linux推進センター)という。

 電子メールによる比較的安価なサービス「Q&Aサービス」も提供する。月間5回までの電子メールに問い合わせが月額12万5千円。

 本サービスは,NECが2003年10月に設立したLinux専門組織「Linux推進センター」(関連記事を中心に,NECソフトの「Linuxソリューションセンター」,NECシステムテクノロジーの「Linuxソリューション&テクノロジーセンター」,北海道日本電気ソフトウェアの「OSSソリューションセンター」,九州日本電気ソフトウェアの「OSSソリューションセンター」といったグループ各社の専門組織約60名が担当する。

 Linux導入の目的として,コスト削減を挙げるユーザーが多い。しかしOSの価格がシステム全体に占める割合は低く,Linuxを導入するだけでは,Windowsサーバーを採用した場合とそれほどコストは変わらない。一方DBMSやAPサーバーといったミドルウエアは1CPUあたり数百万円するものもあり,無償で使用できるオープンソース・ソフトウエアを利用できればコスト削減効果は大きい。

 ただし,オープンソースであるためにサポートに不安を持つユーザーも多く,特に大手メーカーでMySQLやTomcatを正式にサポートするところは少なかった。NECがソースコードの調査まで含めたサポートをメニュー化して提供することで,大規模システムでのオープンソース・ミドルウエア採用が拡大する可能性が高い。

(高橋 信頼=IT Pro)