NECが参考出品した無線IP電話端末

 NECは5月19日,東京・池袋で開催しているIP電話関連の展示会「IPテレフォニーソリューション2004(IPTS2004)」において,無線IP電話端末を参考出展した(写真)。実際に通話できる状態での公式展示は初めて。無線LANの国際標準規格であるIEEE 802.11bに準拠する。秋ころにも出荷する予定。価格は5万円ほどとなる見込み。

 同社は,現在PHSを利用している企業の乗り換えニーズを見込んでいる。同社はすでに,IP電話サーバーと連携するPHS基地局を出荷済み。しかし,無線IP電話端末により電話機までIP化することで,運用の一元化とコスト削減が可能としている。また,個人情報の漏えいを防止する狙いからデジタル・カメラを搭載した携帯電話機の社内利用を禁止したいという企業もあり,通話機能に絞ったシンプルな無線IP端末のニーズは高いと見ている。ただし,連続通話時間は3時間,連続待ち受け時間は48時間と,バッテリーの持ち時間がPHSに比べると大幅に短いことが課題になっている。

 無線IP電話端末は,端末とアクセス・ポイントの間で音声品質を確保するための「優先制御機能」が不可欠。同じアクセス・ポイントを使ってパソコンがデータをやり取りすると,音声が途切れるなど使い勝手が悪くなるからだ。同社が参考出展していた無線IP電話端末では独自規格の優先制御機能を実装することで,音声品質を確保している。独自の規格を利用するため,IP電話サーバーとして「SV7000」,アクセス・ポイントなどの無線LAN機器として「UNIVERGE WLシリーズ」を組み合わせる必要がある。

(加藤 慶信=日経コミュニケーション)