オープンソースのDBMS,MySQLのビジネス活用を推進する団体「MySQLビジネスフォーラム」が,5月設立された。MySQLが「日本国内での認知度の不足から普及するに至っていない」(設立趣意書)との認識から,MySQLに関する情報提供やノウハウの交換,啓蒙活動などを行い,普及促進を図る。また日本市場で必要とされるMySQLの機能・拡張に関する要望の取りまとめも行う。

MySQL CEO
Marten Mickos氏
 5月18日,設立セミナーが開催され,二百数十名の聴衆が参加した。MySQLの開発元であるスウェーデンMySQL社 CEOのMarten Mickos氏が来日,講演を行った。

 Mickos氏によれば「MySQLは1日約3万5000回ダウンロードされており,500万台以上にインストールされている」という。DBMSを航空機の座席に例えて,OracleやDB2はファースト・クラスやビジネス・クラス,MySQLはエコノミー・クラスのようなものと表現。「ファースト・クラスやビジネス・クラスでしか受けられないサービスはあるが,目的地には全員同時に到着することができる」(Mickos氏)。

 MySQLは,無償で使用できるオープンソース・ライセンスと,改変してもソースコード開示の義務が生じない商用ライセンスのいずれかをユーザーが選択できる「デュアル・ライセンス」方式をとっている。このビジネス・モデルなどにより「MySQL ABは利益を出している(Profitable)」と語り,「企業が開発することで責任を持ってサポートできる」と述べた。

 同セミナーではユーザーとして,楽天のEC事業カンパニー開発本部プラットフォームプロデュース部門長 安武弘晃氏が登壇した。楽天では1億行を超えるデータ量のアプリケーションなどでMySQLを使用している(関連記事)。安武氏は「使い方次第だが,MySQLは速く安定しており,よい選択の一つ」と語った。

 公的団体のユーザーとして,財団法人 環境情報普及センター 情報整備課長 原陽司氏も講演。環境情報普及センターの原氏は「現在すべてのシステムでオープンソースを基本としており,環境情報提供システム「EICネット」などでのMySQLの利用について報告した。

(高橋 信頼=IT Pro)