オープンソースのWebブラウザ,Mozillaの開発推進団体,Mozilla Foundationの日本支部が5月にも発足する。名称は「Mozilla Japan」。Mozillaの国際化や,有償でのサポートなどを行い,日本でのMozillaの普及を促進する。

 Mozillaは,Netscape Navigatorのオープンソース版。「Internet Explorer(IE)のセキュリティ・ホールを狙うウイルスが多数出現していることから,企業ではIE以外のWebブラウザを使用したいというニーズがある。またNetscape Navigatorを使用している企業も多い。開発とサポートを提供することで,Mozillaを企業で安心して使えるようにする」(Mozilla Japan設立準備委員の一人,テンアートニ 代表取締役社長 喜多伸夫氏)

 米国のMozilla Foundationは,2003年7月に米AOLが設立した財団で,Netscape Navigatorの主要な開発者だったBrendan Eichらが在籍している。Mozilla FoundationとMozilla Japan設立準備委員は,Mozilla Japanを日本でのAffiliate(支部)とすることですでに合意している。

 Mozilla Japanは,Mozilla Foundationと協力しMozillaの国際化および日本語化を行うほか,Mozillaによるビジネスの支援も行う。具体的には企業ユーザーへのサポート提供,ビジネス・パートナーの開拓,ハード/ソフトウエア・ベンダーへの技術支援および営業支援などを手がけたいとしている。また,Mozillaのユーザー・コミュニティである「もじら組」をはじめとするオープンソース・コミュニティへの支援や,イベントなども行う予定。

 Mozilla Japanは,非営利の中間法人としての登記する方針。法人格を取得することで,サポートなどの契約当事者となれるようにする。「Mozilla Japanで,任意団体のもじら組ではできなかった部分を補完したい。具体的には旧Netscape Communicationsの日本法人が消滅して以来,企業などの組織内で利用されているNetscape NavigatorやMozillaのサポートが行えない状況になっている状況を早く解消したい」(Mozilla Japan設立準備委員,もじら組の江後田基広氏)

 Mozilla Japan設立準備委員会には,喜多氏,江後田氏のほか,元Netscape日本法人の技術者である桃井勝彦氏,瀧田佐登子氏も参加している。

(高橋 信頼=IT Pro)