コンピュータ・ウイルスの届け出先機関である情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA/ISEC)は4月7日,2004年3月中の届け出状況を集計して公表した。ウイルスを発見したという届け出は4012件(2月は1733件)。そのうち「Netsky」ウイルス(すべての変種を含む)に関する届け出は1795件を占めた。1種類のウイルス(変種を含む)で1000件を超える届け出は,2002年8月の「Klez」ウイルス以来だという。

 IPA/ISECでは2004年3月に届け出書式を簡便にするとともに,届け出に関する協力を企業やユーザーに依頼しているので,過去の数字と単純に比較することはできない。しかしながら,Netskyが国内でまん延したことは確かである。

 Netskyの変種に限らず,新たに出現したウイルスはウイルス対策ソフトで検出できない場合がある。そのためIPA/ISECでは,「対策ソフトは有効だが,過信は禁物である」「対策ソフトが警告を出さなくても,怪しいメールは開かない」――ことを呼びかけている。

 加えて,3月29日以降感染を広げた「Netsky.Q」についても注意を呼びかけている。Netskyの変種の一つであるNetsky.Qには,パソコンのシステムの日時が4月8日になると特定サイトへDoS(サービス妨害)攻撃を仕掛ける“機能”がある。このためIPA/ISECでは,DoS攻撃の発信元にならないよう,事前に感染の有無を確認することを勧めている(関連記事)。

 同日,IPA/ISECは3月の不正アクセス届出状況についても公表した。3月の届出件数は57件(2月は37件),そのうち実際に被害に遭ったのは8件(2月は4件)だった。被害の内訳は,実際に侵入されたのが7件,メールの不正中継に利用されたのが1件だった。

◎参考資料
ウイルス・不正アクセス届出状況(3月分及び2004年第1四半期分)
コンピュータウイルスの届出状況について[詳細](PDFファイル)
コンピュータ不正アクセスの届出状況について[詳細](PDFファイル)

(勝村 幸博=IT Pro)