写真1●タカラの「IP糸テレフォン」 2台セットで販売し,1対1通話専用とする。1万円以下で製品化予定。


  写真2●東芝のセキュリティ・システム ドアの鍵のコントローラはホーム・サーバーとBluetoothで接続している。携帯電話からの操作で開けたり閉めたりできる。


  写真3●ソニーのPS2によるテレビ電話 接続したカメラを用いてテレビ電話ができる。

 NTTコミュニケーションズは,同社が開発した機器間接続用プロトコル「m2m-x」の説明会とデモンストレーションを3月12日に行った。m2m-xは様々な“モノ”をインターネットを介して簡単に安全に接続するためのプロトコルである。同社は2004年中にこのプロトコルを使ったサービスの提供を始める予定。

 m2m-xは,IPsecの設定を自動化して,各種機器間の暗号化通信をプラグ&プレイで提供することを目指す。SIPを用いて接続制御を行う。IPv6にも対応しており,ファイアウオール/NAT越えにはIPv6を用いた方が複雑な設定をせずに利用できる。

 NTTコミュニケーションズは,このプロトコルをユビキタス・オープン・プラットフォーム・フォーラム(UOPF)に提案して,ネット家電の標準プロトコルにすることを狙っている。UOPFはNTTコミュニケーションズの呼びかけで2004年2月10日に発足した業界団体。ネット家電を用いて,簡単に,安全に接続,電子決済を実現することを目指す。発足時点で,同社のほかにKDDI,ソニーコミュニケーションネットワーク,ニフティといったインターネット接続事業者(ISP),ソニー,松下電器産業などのメーカーなど合わせて14社で参加している。

 デモでは,m2m-xを利用した,タカラが開発中の「IP糸テレフォン」(写真1),東芝のセキュリティ・システム(写真2),ソニー・コンピュータエンタテインメントのPS2を用いたテレビ電話(写真3),パイオニアのビジュアル・データ会議システムなどが披露された。

 タカラのIP糸テレフォンは1対1の通話専用の電話機。2台セットで販売し,セット間でしか通話できないようにしている。受話器を持ち上げると相手側の電話機が鳴る。

 東芝のセキュリティ・システムでは携帯電話でドアの施錠・開錠ができる。m2m-xの機能を使って,特定の携帯電話からしか操作できないようにしている。不在時にセキュリティ会社の警備員に宅内を見回ってもらう場合などの用途を考えているという。

 PS2では,ハードウエアはそのままにソフトだけで,テレビ電話を実現している。ここでもm2m-xを用いて,設定した相手としか接続できないようにしている。

 パイオニアのビジュアル・データ会議システムは,パソコンの画面を遠隔地間で共有しつつ,テレビ会議を行うもの。タッチパネル式ディスプレイを用いれば,画面に指などで書き込んだものが相手の画面にも表示される。m2m-xによりインターネットを介した安全な通信ができるほか,リモート・メンテナンスに役立てることもできるとしている。

(和田 英一=IT Pro)