画面1●違いはバージョン名のみ ほかの部分はIPv4版,IPv6版とも同じ作りである。
 
  画面2●スケジュール管理画面 (クリックして全体表示)
 
  画面3●プロジェクト管理画面 (クリックして全体表示)

 NET&COM 2004開幕直前の2月3日に「アリエル・エアワン・プロ・IPv6対応版」を発表したばかりのアリエル・ネットワークは,同ソフトをNET&COM会場でお披露目した(ブース番号4510)。対応アプリケーションが数少ないIPv6対応製品のなかで,数少ないグループウエアである。IPv6のトライアルをしているインターネット接続事業者などに販売する。

 IPv6対応版といっても特別な機能が加わっているわけではなく,見た目はIPv4対応の「アリエル・エアワン・プロ」とまったく変わらない。唯一の違いはバージョン画面に「IPv6」と表示するだけという(画面1)。

 企業内ネットワークの中だけで使うグループウエアであれば,IPv6対応である必要は少ない。しかし,例えば自宅など社外からもグループウエアを利用したい場合は,家庭内と社内とでそれぞれプライベート・アドレスを使っていれば,インターネットを経由する際に2回アドレス変換が必要になる。

 ここでポイントとなるのが,アリエル・エアワン・プロ(IPv6版)は基本的にはピア・ツー・ピアで動作するという点である。これを同社では“ビジネスP2P”とうたっている。このためWebアクセスや電子メールの送受信と違って,双方向通信を実現するためにアドレス変換を行うルーターやファイヤウオールに特殊な設定が必要となる。

 IPv6環境であれば,あるゆる機器にグローバルのIPアドレスを割り当てることができるため,アドレス変換は必要なく特殊な設定は不要となる。

 同社ではIPv6版は,IPv4対応の通常版とは異なるユーザー層に売れるとみている。IPv6の実用化実験などを進めているインターネット接続事業者や研究機関などがターゲットだ。すでにKDDIがIPv6イントラネット実証実験用に採用することが明らかになっている。「一般企業向けにIPv6版が売れるようになるのはまだまだ先だろう」(同社の執行役員である中山嘉貴ビジネスオペレーション部長)

 アリエル・エアワン・プロ(IPv6版)のグループウエアの機能としては,スケジュール管理(画面2),プロジェクト管理(画面3),ToDo管理,掲示板,定型文書管理,ファイル管理がある。価格はIPv4対応の通常版,IPv6版ともに10ユーザー基本セットが19万8000円。今後はIPv4版,IPv6版とバージョンを分けずに1つのバージョンでどちらのプロトコルにも対応させるという。

(和田 英一=IT Pro)