ディー・ディー・エス(DDS、ブース番号5120)は、千葉市・幕張メッセで開催中の「NET&COM2004」に、自社開発した顔認証用ソフトウエア「FaceX for embedded system(以下、FaceX)」を参考出品した(写真)。動作に必要なリソースが小さいため、PCやPDA(携帯情報端末)、携帯電話にも搭載できる。同社は、ペット・ロボットに組み込むなど“エンターテイメント”的な使い方も考えている。

 FaceXは、同社の指紋認証ソフトウエア「UB-safe」の認証エンジンを使ったソフト。本体のファイル・サイズが60kバイト、必要なメモリー領域は100kバイト程度とする。他の指紋認証製品とは異なるアルゴリズムを使用しているため、必要なリソースが小さいとする。

 UB-safeの認証エンジンが採用するアルゴリズムは、指紋のパターンを複数の波形の組み合わせとみなす「周波数解析法」。どのような波形が組み合わされてパターンが形成されているのかが、指紋の特徴情報になる。特徴情報が同じか近ければ、登録された指紋と同じ指紋だと判断する。DDSが中部大学や名古屋工業大学などと共同で研究開発した。

 これに対して他社製品の多くが採るのは「マニューシャ法」や「パターン・マッチング法」といったアルゴリズム。前者は指紋の盛り上がりや分岐点同士の相対位置を指紋の特徴情報に、後者は指紋を画像処理して得られる抽象的なパターンを特徴情報にしている。

 ただし、FaceXは堅牢なセキュリティが要求される用途には適していない。例えば「玄関のドアの鍵代わりにはできないだろう」(DDSの市川理恵氏)。DDSはFaceXのFAR(False Acceptance Rate:他人受入率。他人を本人として誤認する割合)やFRR(False Rejection Rate:本人拒否率。本人なのに本人ではないと誤認する割合)を現時点では公開していない。同社は、指紋認証システムと組み合わせて利用することを想定している。FaceXの価格や出荷時期などは未定。

(勝村 幸博=IT Pro)